第8話覚醒

 舞台がてんわやんわになっているのを不思議そうに眺めたルースター大尉はそこに探しているマナロイドの少女がいるかは分からなかった。

 だがナナが「あなたもマナロイド!」と叫んでいたので。

 そこに探している少女がいると思い

 「あそこですねぇ」と舞台の方に指を指して帝国兵に知らせた。ただ指を指したのはジュリエット役の女性だった。

 軍人達が現れたのを見た観客達はそれも舞台の演出かと思い、パチパチと拍手を送る。

 「静かにするのでありまぁす」

 帝国兵がルースターの命令により、ホルスターから火器を取り出し天井に向けて『パン!』とうち、観客はそれが本物の軍隊だと分かった。

 舞台の方もその音に驚きボロボロになった衣装の役者も音の元を雷が落ちた時のようにそちらに目を向けた。

 「この女は今指名手配のマナロ……」

 その先にいたのはジュリエット役の女性。間違えた、とあげた指をどうすればいいか分からずふった。

 しかし、その隣に少女を見つけ、すぐに舞台ににじりよるルースターと帝国兵。

 この前とは違う服装なので気づかなかったが、バケツを横にしたようなフリフリ付きのボンネットの中に見えるは左の顔が最初に出会った時に壊れたまま。

 「やはり二丁の重火器を操っていた化け物でぇす」

 その姿はピンクのドレスヒラヒラがたくさんのドレス。

 「流行のパニエが半分出ているかわゆいお洋服、私も着用したいではありませんかぁ!」

 言い忘れたがルースター大尉は男である。

 でもその事は彼の部下の間では『しー』であった。

 おっさんの趣味などどうでもいい帝国兵達はマナロイドのナナを取り囲んだ。

 ナナの顔は険しくなり先ほどと同じ無垢な女の子とは思えない。

 「取り押さえなさぁぁぁい」

 ルースターの一声でナナの腕をつかもうとした帝国兵、するとその時!

 サッと長髪を靡かせてナナの前にたちふさぎ最高のプロテクト(守り)とカレッジ(勇気)を見せたのはギアであった。

 「なんだぁ!? 貴様は!」

 帝国兵は勇敢(ブレイブ)な少年の顔を横からはたき、彼が倒れてうめいてる所時に思いっきりお腹を踏みつけた。

 ギアは口からおびただしい程の血を吐いた。

 カチカチ。

 ナナの身体の中に何かが蠢いた感じがした。

 その刹那観客、役者がどよめいた。

 ナナは片手でギアに暴力をふるった帝国兵の首を掴みそのまま持ち上げている。

 「化け物だぁ!」

 舞台にその言葉がこだましていくがナナは何も感じなくなっていた。



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