第4話ナナ

  ギアはマリアと少女を連れて、デュゲリス帝国の帝都リョンドン案内を決め込む、持っていた買い物袋はマリアが持ってくれていた。

  豪腕の持ち主なのだ。

  「ところで君の名前は?  あっ僕はギアでこっちはマリアだよ」

  機械の少女は不思議そうに首をかしげて、助けを求めるようにマリアに顔をむける。

  マリアはあなたはなんて呼ばれていたのか?  と簡潔に説明してあげた。

  すると少女は

「化け物、部品、人形」とだけ言った。

  初めて聞いた彼女の声、か細く鈴のなる音のように透き通る声。

  「ジェシカ様はこの方のお名前をギア様に名付けて欲しいらしいです」

 名前を考えるように無茶振りされたギアは彼の最高のセンスにより『ヌゥン』がいいんじゃないか? とマリアに宣言すると、

 「ナナがよろしいのではないのでしょうか?」

という訳で謎の少女はナナと呼びれるようになる。

 買い物からドクター・ジェシカの研究所に帰ってみると何かがおかしい、研究所の壁に大きな穴が開いている。

 やっと天井を直したばかりだった研究所の部屋に急いで入っていくと、グオオと呻き声がした。

  「おーい、誰か助けてくれぇ」

  ジェシカがいろいろな機械の下敷きになり出られなくなっている。

  友達の声だと分かるとマリアが急いで買い物袋を頬り投げてジェシカをひっぴりあげた。

  「師匠、いったいどうしたんですか?」

  ムーとほっぺを膨らませたジェシカはポリポリ頭をかいた。

  「さっき軍の連中がやってきてのマナ・ロイドの少女を探していると聞いてきたがわっちが口をわらんとなるときゃつらわっちの研究所を滅茶苦茶にしていきおったわ、わっちが機械好きなのを知って怪しんで、見つからないと分かると常に兵器を造る事を拒んでおるのでこれ幸いにと日頃の鬱憤をはらすようにここを破壊しつくして出ていきおったわ。」

 ドクター・ジェシカにかかればそこら辺のガラクタも戦闘用スチームロイド、スチームタンク(戦車)、スチームボットがすぐに出来てしまう、なので帝国軍のお偉方はジェシカにいろいろ造るように言っているがジェシカは自分が造りたい時、気が向いた時しか造らず、何度も拒否してきたので軍は彼女の痛い所を探っていたのだ。

 「ふん、こうやって力でわっちを動かそうとする辺りでもう軍の手助けはせん」

 プンプンと怒っていたが買い物袋に入っていたすこんぶによって彼女の笑顔がフェニックスのように復活した。

 くちゃくちゃとマナーという物が嫌いな彼女は音を出しながら食べ、酸っぱいすこんぶをナナと名付けられたマナ・ロイドに手渡した。

 「ちゃくちゃちゃちゃ(お主も食うてみぃ見ていたらよだれがでるじょ)」

 酸っぱい物を想像したり食べている人を見ていると何故か口からだえきが出る、なんでだろうか?

 それを知らないマナ・ロイドはハムハムとそれを食べ初めた。

 マナ・ロイドも食事するらしい。

 ナナは口をすぼめて眉を真ん中によせたため、ギアもヨダレガデマシタ。

 その後ギアは暑い中、壊された壁を修繕してうんとにっこり大砲ていれ……ではなくうんとぐったり壁を修復していた。

 だらだらの汗を拭い、フォントルロイスーツ---おされな貴族スーツ、ギアの家系は貴族であった、今は落ちぶれている--を汚して「こっちも修繕しますか? と叫んだが」

 ジェシカ達の返事がないのでおかしいなと思い、ジェシカとナナとマリアがへそを出してベッドで一緒に寝てたのでギアはつい「うぉい!」と一人叫んだ。



 

  

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