第3話お散歩

  帝国が謎の技術書(皆はそれをグリモワールと呼んでいる)によって少女の形をしたマナロイドを造りだした。

  しかし、極秘であったマナロイドが逃げ出した。

  三週間前の事である。

  「そもそも、彼女が体内で造りだすというマナ・ワールは、鉱石であるマナを液体化したもの、この技術は他の国にはできなかった、皇帝はどこからかその液体化の方法を知ったらしい、これははるか昔に栄えていた古代人ジンフェアの技術ともっぱらの噂じゃ、マナ・ワールを永久に造るマナロイド、古代人の技術がつまっている彼女が……」

  ジェシカはポイとギアが持ってきたマナロイド(尋ね人の欄に載っていたが皆ピンとくる)の記事が書かれた新聞をそこら辺に放り投げて、ちょこんっとこちらを猫が見てるようにおとなしく座っているマナロイドの彼女を見た。

  「何故にここに落ちてきたんでござろう」

  ギアは何故かござる口調だ。

 

 もくもくと薄い雲が張り巡らされた空、大きなガラスだけで作られたクリスタルパレスが建造されていてキラキラと光っている。あの時はお祭り騒ぎだったが慣れとは怖い、もう日常風景として足を止める者は数少ない。  ギアはジェシカに頼まれた食料品を四角い茶封筒にいれて両手にかかえてえっちらおっちら歩いている、前が見えないために誰かに当たってしまった。

 「すみません」

 謝りながら袋の隙間から見えたのはドクター・ジェシカが開発したスチームロイドのマリアだった。

 そしてその隣にはフードを被った何者かがいたがギアはすぐに昨日の少女だと分かり慌ててマリアの元にかけより、耳元で囁いた。

 「もっもしかしてこの人は昨日空から落ちてきた女の子?」

 答えを示すようにマリアはそのフードを少し持ち上げてギアに顔をよく見せた。

 昨日の少女だったが少し違う所があった。

 壊れた左顔面はスケルトンのカバーがつけられていた。

 カリカリと小さな歯車が音を微弱にならしている。

 どうして外に連れてきたのかっと問いただすと、あの部屋にずっといると体調を崩すかららしい、って師匠が一番あの部屋に入ったきりじゃん!

  

  

  

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る