4-1 ドスケベVSドラゴン最終決戦①
「ふう……行っちゃったね」
ダイワクビレッジの入り口付近。ラルフとマリシアを送り出したジルが小さく溜息をついた。横にはピンク髪ちんちくりんの女の子が立っている。
「あたしたちも行かなくて良かったのかなあ」
「行こうにも防具がなかろう」
「亀ちゃん鎧とかスケスケの奴じゃダメなの?」
「あれじゃあボルケオドラグーンの攻撃には耐えられんさ」
ジルは不安げな顔。レッセパッセが彼女のアタマをそっと撫でた。
「ラルフとマリシアを信じよう。大丈夫だ。ヤツらには鉄壁不敗のドスケベミズギがある。防御は最大の攻撃。守りを極めしものに敗北はない」
二人は遠くに見える巨大な炎の山を見上げた。
もはや勝手知ったるダイワクボルケオをラルフとマリシアはズンズンと登っていく。
至る所で赤く光るマグマが煮えたぎっているが全く暑さは感じない。
ラルフの顔に浮かぶのは根拠ある自信と燃えるような闘志。
実によい表情をしていると言ってよい。――それに対して。
「あのぅ……」
マリシアの顔に浮かぶのはほぼ『羞恥』のみだった。
それも自分のふんどし姿に対してではない。
「もうちょっとゆっくり歩いて頂けませんか……」
「すいません。そうですよね。対決の前にあまり体力を使っては――」
ラルフは慌てて歩調を緩める。
「いえ。そうではなくて。あんまり激しく動かれるとその……見えそうなので」
ピチピチすぎるソレはラルフが一歩歩くごとに伸縮し、いまにもこぼれ落ちそうな大変危険な状態にあった。
「申し訳御座いません。気を使って頂いてしまって。でも僕はこぼれても気にしませんので」
「私が気にするんです! こぼすなよ! 絶対にこぼすなよ!」
これは実はこぼして欲しいのだろうか? などと考えながら歩いているうちに。想い出のたくさん詰まった、ヘビがいっぱいいる洞窟に到着した。
マリシアは目をきっちりと閉じてラルフの右腕に両腕を絡めた。
「よし! このまま行ってください!」
「マリシアさん。その体勢だとあの……胸が……」
「気にしませんから! 行ってください!」
「僕が気にするんですけど……」
ラルフは股間がさらにこぼれやすい状態にならないよう、必死におっさんのすっぱだかを頭に浮かべながら早足で歩いた。
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