2-17 第二次ダイワクボルケオ攻防戦②

 洞窟を通り抜け、急激に険しくなった斜面を杖をついて登ること一時間。

 恐らく山頂まであと少し、という所で再び洞窟らしきものを発見した。

「うーんこれは……」

「洞窟の入り口に扉ですか……」

 ビスケット調のオシャレな扉。フチの部分が宝石で彩られて大変豪勢だ。

 周りの岩ばかりの風景からふわふわと浮き立ちまくっている。

「完全に人工物ですね」

「いや『龍工物』でしょう」

 二人は揃って息を飲む。

「この中にボルケオドラグーンが……」

 互いに緊迫した顔を見合わせる。だが。

「ラルフさん。なんか――あんまり緊迫感がありませんね」

「そうですね」

 片や上半身裸の漁師さんスタイル。もう一人も黄色いキャップを被ってボディスーツのようなあやしい格好。お互いにヘナヘナと力が抜けていくのを感じていた。

「まあいいでしょう。戦闘においては平常心が大事。と僕の師匠も言っていました」

「そうですね」

「扉を開いてもいいですか?」

「はい」

 ラルフはビスケット扉を蹴破った。

「うっ……!」

「眩し――!」

 彼らの目にまず入ってきたのは、チカチカとけたたましい光を発する宙に浮いた回転体。

 それから透明なガラス張りの床、七色のクリスタルが生えた壁。

「な、なぁにいコレ……」

「新手の目つぶし攻撃ですかね」

 薄目を開けて中を見通そうとするがギラギラと光る壁や床のほかにはなにも見えない。

「ラルフさんどうします? 目をつぶって中に入ってみますか?」

「いや。それはさすがに危険すぎるかと。――とはいえどうしたものか」

 二人は途方にくれ立ち尽くす。やがて――。

「ん? マリシアさん。徐々に光が弱くなってきていませんか?」

「む……これは弱まっているというより……」

 部屋を照らす光源の『方向』が徐々に変化していく。部屋全体を照らす光からスポットライトのごとく真下を照らす光へ。そしてその光の中には。

「――! あなたは――!」

「あいつだ――!」

 一人の男が右膝をチョコンと上げて、左手で悩ましげに顔を隠した謎のポーズで立っていた。

「ラルフさん。ずっと見ていましたよ。あなたがこちらに向かってこられるのを」

 銀色の長い髪に中世的な整った顔立ち。真っ赤なマント姿。

「ラヴァさん……!」

「えっえっ!? どういうこと!?」

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