2-15 ドスケベミズギ二号完成
それからまた一週間後――。ラルフの家。
「はいできたー! そうれえ!」
デジャブ。ジルがマリシアを階段から投げ落とす光景が再現された。
「キャー!」
「またこのパターンか!」
今度は階段から落ちてきたマリシアのおしりの下敷きとなった。
ラルフの顔面に激痛。しかし。嬉しいか悲しいかで言ったら嬉しかった。
「だ、大丈夫ですか!?」
慌てて立ち上がるマリシア。
「嬉痛う~。いえ全然大丈夫です。毎日でも大丈夫です。いかがですか? 新作はお気に入っていただけましたか?」
「そ、そうですね~」
今回の『ドスケベ水着』は紺色のワンピースにヒザ上まである黒いソックス、さらに頭には黄色い薄い生地のキャップ、という代物であった。胸のあたりには古代言語で『まりしあ』などと書かれた白布が貼られている。
「今回は布多いよねー」
ジルが階段の手摺をオマタで滑って階下に降りてくる。
「ああ。殆ど布だらけ。布人間と言っても差し支えないレベルだな」
ラルフは自身ありげに仁王立ち。
「これは『スクミズニーソ』という古代文明時代の学生が使用していた防具だそうです」
しかし。マリシアは恥ずかしそうに身をよじっていた。
「なんだかなー……全体的にピッチピチにしまって体のラインが……それに太腿のあたりだけ見えているのが逆にすっごい恥ずかしい」
手で中途半端に太腿を隠すものだから余計に煽情的な状態になってしまっている。
「そうですかね? 黒系の水着及び靴下と、白い肌のコントラストが美しいと自負しているのですが」
「美しいというよりはいやらしいような……」
「えっ!? いやらしくなんかないですよ!」
「いや。爆裂にやらしいと思うよ」
「ジル!」
「ほらやっぱり!」
ジルの介入によりさらに話がこじれる。
「でも大丈夫だよ! マリ姉ってどんな格好でもいやらしいから。この間の入浴着でさえどうしようもないエロ霧を出し散らかしてたし」
「エロ霧!?」
「まあ確かにそうですね」
「その顔! わかった! わざとエッチなのを作ってるんでしょ!」
「今頃きづいたの?」
「ジル! おまえなにを!」
「増やして―! いますぐ布ふやしてー! ふともも隠せ―!」
「落ち着きなよ! 隠せば隠すだけエロくなるということもあるよ!」
なにやら収集のつかないことになってきた。
「ううむ。そうですね。どうしてもお気に召さないのであれば」
とラルフが戸棚からなにかを取り出す。
「こちらのステルスシルクワームの糸から作った『スケルトンキャミソール』もございますが」
出てきたのは足首まで隠れるタイプのロングキャミソールだった。
「おお! これなら露出度は殆どゼロ! 健全の塊だね!」
「バアアアアアカ! ゴリゴリにスケてるじゃないですか! こんなもん具まで全部見え! 捨てて! 今すぐそれ捨てて!」
「大丈夫。ある意味肉眼じゃ見えていないようなもんですから」
「わからーーーーーーーん!」
「おお。テレギレだ。けっこー久しぶりに見た」
――およそ二時間に渡る押し問答の末。マリシアが折れた。
「わかりましたよ! スクールミズギ着ればいいんでしょう!? ラルフさん嫌い!」
「あーあ。あの飲み会以来イイカンジだったのにまた好感度下がっちゃった。どうするの?」
ラルフは救いを求めるようにマリシアを見た。しかしツンと顔を逸らされてしまう。
「と、とにかく。僕も着替えてきますね」
「えっ? 着替え?」
「僕も火焔対策装備を着ないと燃えてしまいますから」
――数分後。ラルフは上半身裸にトランクス丈のパンツ一丁の姿で現れた。
マリシアの悲鳴がダイワクビレッジ全体に響いた。
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