第68話 おっさ(略 ですが光速度は真空中では一定なんです
俺たちは、アポカリプスを名乗る少女と相対している。見た目単なるロリ巨乳なのだが、ノーライフロードの上半身と下半身を行き別れにさせる実力考えると、このあと俺も上半身と下半身がバラバラになる可能性も高そうだ。
そうならないようにしたいところだと考えると、なんとか生きてこの死地からエスケープしないとならない。俺はアポカリプスを見つめつつ袋から手甲の形をしたそれを取り出した。
「クリス、これを」
「なんですかこれ?」
「光速の98%で電子線を放出可能な加速器だ。クリスやアランの電撃魔法を使えば電子線を撃てる」
「俺には!?」
「すまんない!」
「ないのかよ!!」
おいアラン、すっかり忘れてるだろ追放したの!?パーティに入ってたら用意してたのだが。
「とりあえずこれ」
「あ、この前わたしが使った」
「なんだこの槍」
「これに雷魔法ぶち込むと弾が飛ぶ」
「ないよりマシか…」
「準備はいい?そこの骸骨みたいにいきなり終わらせないでね?ドラゴンでしょ!?」
物騒極まりないことこの上ない発言をぶっぱなすロリ巨乳に、アランとクリスが向かって行く。
「最速の剣技を披露することにするか」
「わかりました」
そういうと二人が居合の如く腰に手をやり、剣を構える。
「
「
ほぼ同時に放たれた、光速かとすら思われる居合の剣は、しかし見てからかわされた。
「ちょ……未覚醒でこれ!?ドラゴンって化け物ね」
「えっ!?今のを!?」
「ボォっとするなクリス!!
一発目をかわされたアランだが、更なる高速の剣技を連発する。しかし、それらもあっさりと見てからかわされているようだ。
「早すぎねぇか」
思わず俺は呟くしかない。クリスやアランの剣技の速さは尋常じゃないレベルだ。だがそれらもあっさりと見てからかわされている。異常なのは反応速度……なのか?
「アラン!クリス!一度下がれ!!巻き込まれたくないなら!」
「えっ!?はっ、はい!」
「うぉい無茶すんなハカセ!!」
アランとクリスを引かせて問答無用でランチャーから弾頭を発射する。
「脆弱な人間が何する気?」
「言ってろ!!」
飛んでくる弾頭をひらりとかわすアポカリプス。しかし、アポカリプスがかわした瞬間に、弾頭が炸裂し閃光が走る。それと同時に轟音も響き渡る。
「二人とも!今のうちに距離をとるぞ!遠隔攻撃だ!」
「はっ!はいっ!!」
「さすがにひる……なんだと!?」
聖剣がそう口にするが、アポカリプスは耳を抑えてこちらを睨んできた。閃光はかわされたのか?
「ったく人間!うるさい!」
なんでだ?閃光だって発生したはずなのに、閃光については触れていない?どういうことだ?俺たちは全力で走って走って走り抜く。アランとクリスは遥か前で、俺は泣きそうである。
「おらハカセもっと早く走れ!」
「勇者と同じ速さで走れるかよ!!しかもおっさんだぞ俺!!」
「ヒロシもそれだけ走れれば十分人間やめてます!!」
ヒロシです、
「くっそおおおおおおぉぉぉぉ!!」
体力の限界まで俺は走った!走って走って走り抜いた!!そして再度ランチャーをアポカリプスにぶっ放す。
「いい加減にしろ人間!ナメるな!」
アポカリプスが何かをぶん投げてくる。攻撃が雑なせいでとりあえず当たりはしなさそうだが。閃光がアポカリプスを襲い、次の瞬間弾丸が飛び交う。それらの攻撃をもあっさりとかわし続ける。
「なんでっ!?当たらない!!」
クリスが叫ぶ。光速の98%の速度で飛ぶ電子線すらあっさりとかわされる。しかも見てから。バケモノにもほどがある。
「……おかしいだろ?見てから?光速に近いのに?」
俺の発言に怪訝な顔をするクリスを見て、ふと呟く。
「光速度一定って今のこの世界でも通用するよな?」
「光速?なんで今そんな話を?」
聖剣先生ならわかってくれるか。
「ヤツの挙動を見てたら不審な点があるんだ。俺たちの最高速攻撃すら当たらない。はっきりいうが異常だ」
「えっ、でもそれは相手がすごく早いのでは?」
「光速に近い攻撃の電子線避けたんだぞ?ありえねぇよ!」
見てから避けるってのは、視神経からの反応と脳の処理の結果である。それをこうもあっさりやられるってのは……。
「空間?」
「何言いたいんだハカセ?」
「空間だ!ヤツは空間を操っている!!」
そういうカラクリだ。空間を進む距離が伸びれば伸びるほどこちらの攻撃はスローに、場合によっては空間自体の断裂だって使えるだろう。
「しかしそんな馬鹿みたいなエネルギー、どっから……」
空間を歪めるとなるとそのエネルギーは膨大である。それを簡単にどうこうできるとはおもえない。
「持久戦に持ち込むと案外脆いかもな」
「……正直持久戦とか勘弁だがな」
「えっと、最悪エクスポーションならいくつかあります」
『早速使うのか……』
俺たちが距離を置こうとしているとだ。
「じゃじゃ馬め。こんなところでヒマを潰してないで早く戻れ」
「えー。でもこいつらドラゴンだよー?ここで始末しておかないと」
「まがい物のドラゴンなどどうでもいい。そんなことより軌道樹に問題が起きている。早く来い」
何か遠くから声がする。どういう仕組みだ?
「……仕方ない。ドラゴンたちも人間も、次こそ終わらせてあげるから、待っててね」
そういう時アポカリプスは猛烈な勢いで空を駆け上がっていく。助かった……のか?
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