第9話 映画研究会

 勇太は、映画研究会に入っている。

 1年の時、担任が映画研究会をやっているとのことで、豪と他のメンバーと一緒に、映画研究会に入った。

 その後、他のメンバーは、別の部活に行ってしまい、同学年は、勇太と豪だけになってしまった。

 あくまでも同好会扱いなので、部室とかがなく、いつも、先輩のいる教室に行っているのだ。

 先輩は3人。

 部長の小幡 聖(おばた ひじり)。現在18歳、

 ちょっと、太っているように見えるが、かわいく見える。

 風戸 妹子(かざと まいこ)。同じく18歳。

 将来役者を目指しているらしい。

 続橋 公美(つづきばし まさみ)。同じく18歳。

 なんか、大雑把で、いい加減。

 それぞれ違うクラスだが、同好会の活動は、主に聖の教室で行われている。

 聖は、挨拶がてら、

 「山村君久しぶり~。元気してた?」

 と言ってきたので、勇太は、

 「はい、まぁまぁ元気です」

 と答えた。

 妹子は、

 「山村君は、山村君は、変なところで、意地っ張りなんだから、気をつけなさいよ~」

 と言ってきた。

 どうやら、あの事件のことは、知っているみたいだ。

 公美は、

 「まぁ~そこが、山村君のいいところじゃないの」

 と、適当に答え垂れた。

 勇太は、

 「すみません。最近、部活に出られなくて」

 と先輩たちに陳謝した。

 聖は、

 「まぁ~いいよぉ。それより、文化祭の話になるんだけど……」

 と言ってきて、あ、そういえば、秋に、文化祭があるんだっけ……

 聖は、さらに話を続けた。

 「今年は、完全オリジナルの作品を作ろうと思っているんだけど」

 と言ってきた。

 確か、去年は、どこかの少女漫画を題材にした映画を制作した記憶がある。

 オリジナルか……

 ということは、今から作業しないとだめだな。

 勇太は、

 「もうシナリオとかできているんですか?」

 と質問してみた。

 妹子は、

 「それが、全然できていないんだよね」

 と、お菓子を食べながら、答えた。

 聖は、

 「まぁ~シナリオとかは、いいから、機材、貸してくれるとうれしいんだけど……」

 と両手を合わせながら、勇太に頼んだ。

 勇太は、ビデオカメラも持っている。

 去年は、顧問の先生から、借りたんだけど、先生が他の高校へ異動してしまい、ビデオカメラがない状態だったのだ。

 映画研究会で唯一持っているのは、勇太だけだった。

 勇太は、

 「わかりました。撮影の時に持っていきますよ」

 と答えた。

 聖は、うれしいそうに、

 「やったぁ!ということで、みんなで、プトプトしよ」

 と言ってきた。

 ……また、プトプトか、すごい人気なんだな。

 そういえば、プトプトって、多人数プレイができるんだな。

 公美が、

 「最近のアップデートで、多人数プレイができるようになったんだよ」

 と言いながら、スマートフォンを操作した。

 (どおりで知らないわけだ)

 勇太は、そう思い、豪を含めた5人でプトプトをやることにした。

 

 下校時間になり、映画研究会が終わると、勇太と豪で、同じ道ということで、一緒に帰ることになった。

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