第8話 復帰

 学校に復帰当日の6月16日、勇太は朝早めに、母親と登校した。

 先生や校長にあいさつやお詫びをし、自分の教室へ入った。

 自分の席に着き、周りを見渡した。

 誰も近づこうとしない。

 (まぁ~そりゃそうだ。あんな事件があったんだから)

 と勇太は、うつむいて、自分席に座った。

 いじめっ子の昭夫は、まだ来ていないみたいだ。

 だが、いつものメンバーは違っていた。

 石神 豪(いしがみ ごう)と水町 一貴(みずまち かずき)が、こちらに近づいてきて、豪は

 「よう!久しぶりだな!元気してたか?」

 と、以前と変わらず接してくれた。

 一貴が

 「最近、このゲームにはまっているんだ」

 とスマートフォンを取り出し、プトプトの画面を見せた。

 勇太は

 「知ってる。通知が来た。俺もそれやっているよ」

 と答えたら、一貴が

 「あ、そんな機能あったんだ。ゲームに夢中でそんな機能があったなんて、知らなかったよ」

 と答えた。

 ホームルームが始まると、豪と一貴は、それぞれのクラスに戻っていった。

 

 豪と一貴は、高校1年生では、同じクラスであった。

 豪も一貴も同じ趣味を持っていて、入学式の自己紹介以降、仲良くなった。

 2年生のクラス替えで、別々のクラスになっても、勇太の教室へ行き、相変わらずの会話をしている。

 

 ホームルームが始まった。

 昭夫は、まだ来なかった。

 そして、事件触れることもなく、ホームルームが終了した。

 事件については、あまり話題になっていなかったが、勇太に話しかける人は、いなかった。

 授業の合間の休憩時間に、トランプをしていた仲間も、こなかったし、話しかけるのも、気が引けた。

 

 そして、昼が過ぎ、放課後になった。

 結局、昭夫は、学校を休んだみたいだ。

 勇太は、放課後3年生の教室へ行き、先輩たちのところへ行くことになった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る