第15話 親友が絡むと真面目になる系の人

 結局、昨日はフィン師匠の機嫌は直らなかったため、今日再びギルドに行くことになった。


 俺たちはギルドの紹介ということで、後払いで宿に泊まっているんだが、フシミのステータスを見せてもらったら、スキルに『剣術Lv.1』が増えていた。

 どうやら、フシミは相手を煽らずに教えてもらっていたらしく、普通に良い先生だって言っていた。冒険者の中で、剣術に長けている人がいたらしく、お願いをしたら1日銀貨1枚で受けてくれたようである。

 お金?ギルマスの無茶振りの報酬だけど、いくらもらったか聞いてなかったよな。


 金貨50枚だって。フシミと半分で分けたから、一人25枚だな。


 貨幣に関しては、

 金貨1枚は銀貨100枚分、銀貨1枚は銅貨100枚分、銅貨1枚は鉄貨10枚分だと言われた。ちなみに、金貨の上には白金貨というものがあるらしく、白金貨1枚が金貨100枚に相当するらしい。


 そういえば、俺の依頼の報酬は要相談にした気がするな。

 とりあえず、依頼が終わってからにしよう。いつ終わるかわからんけど。


 さて、今日も張り切っていこうか。

 そう思って訓練場に行くと、すでにフィン師匠が俺を待っていた。


「よう。遅かったじゃねえか」

「あ、フィン師匠。おはようございます」

「だからフィンって呼ぶなよ……まあいい。今日は真面目にやれよ?」

「おう、親友にバカにされないように、今日は真面目にやるよ」


 フシミがすでに、剣術のスキルを持っていたため、少し悔しくなったのだ。とは言っても、俺がスキルを取れなくてもフシミは俺をバカにはしないだろう。フシミだし。


「親友か……よし、じゃあ昨日のことは水に流してやろう。

 さて、まず初めは魔力について教えてやろうかね」


 どうやら、昨日のことは許してくれたようだ。よかったよかった。


 さてさて、フィン師匠は魔力について教えてくれるようだ。


「魔力ってのは、体の中に流れている血液と同じような、命の源みたいなものだ。だから、魔力がなくなると貧血と同じ症状が起こり、最悪気絶する」


 死にはしないんだな。


「で、魔力がない状態で無理に魔法を使おうとすると、最悪死に至る。

 これは、生命力が魔力を補おうとするために起こることだ。昔はこれで多くの魔法使いが死んだな」


 まるで見てきたかのように、フィン師匠は言った。


「フィン師匠はもしかして、実際に見たことがあるのか?」

「ああ、おかげで私は大切な友人を亡くしてしまったよ……」


 友人か……俺で言う、フシミみたいなやつか。だからさっき、親友と聞いて懐かしむような目をしたのか。


「その友人てのは、どんな奴だったんだ?」

「ん?ああ、私が子供の頃、魔法について教えてくれた、憧れのさ」


 そうか、人間か。


 すでに絶滅した魔族と違い、魔人族である彼女は、種族の違うその人間が好きだった。だから、世間から『魔族』だと言われても、憧れの人間に近づくために、ここまで強くなった。


 まるで物語のようだな。


「あー……やめやめ。そんな目で見るな。

 次は魔力の感じ方について説明した後、実際にやってみてもらうぞ」


 残念、もう少し聞きたかったな。


 ところで、フィン師匠。

 あんたの一人称って『私』だったか?

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