おや、モブが成長するようですよ?
第11話 パーティーって宴のことじゃないの?
「お前ら……パーティーとかって考えたことないのか?」
今朝一番に、ギルマスからこんなことを呆れ顔で言われた。
パーティー?宴とか、飲んで喋って踊るやつとかのことか?
昨日も一昨日も、王様からの手紙だとか言って、ギルマスから例の貴族に手紙を届けてこいと言われて行ってきた。
二回目はギルマスが直々に招待状を書いてくれたおかげで、すんなりと入ることができた。罠は仕掛けたままだったらしいが、そんなことは知らない。嫌な予感がしたためスキルを発動したまま行ったからだ。
っていうことで俺は疲れていた。
そんな俺の疲れを知っていたフシミは、同じく疲れた顔をしながら口を開いた。
「レイヤ、冒険者でいうグループみたいなものだよ。多分」
「いや、合っている。フシミの言う通りのモンだ」
レイヤは冒険者のパーティーが何なのか知っていたようだ。
そういえば、最近になってギルマスから名前を覚えられた。どうやら、ギルマスから名前を覚えてもらうことは何か特別なことらしく、他の冒険者から憧れの眼差しを受けた。ぶっちゃけ男から、しかもおっさんからそんな目で見られても嬉しくない。
「考えたことはないな。でも、俺とフシミは基本、一緒に行動しているから、自動的にパーティーが組まれていると思ってた」
「そんな馬鹿なことがあるわけねえだろ。登録しなきゃパーティーなんて組めねえよ」
馬鹿って言われた。脳筋に馬鹿って言われた。
「今『脳筋』って言われた気がするんだが」
「「気のせいだ(です)」」
俺とフシミの声が被った。どうやらフシミも同じことを考えていたようだ。さすが親友。これがソウルメイトというものだろう。
「気のせいか……まあ、とりあえずパーティーの登録でもしろ。でないと、お前らは潜入に関してはかなり優秀な冒険者だから、どっかそこらへんのパーティーに引っこ抜かれるぞ」
そう言ってギルマスは他の冒険者をチラッと見た。俺たちもつられて周りを見た。
どうやら盗み聞きしていたらしく、こちらに目を向けていた冒険者が何人か、バッと顔を逸らした。
なるほど。それはちょっと嫌だな。フシミだけは敵に回したくないし。
「「…………」」
フシミを見ると、フシミも俺の方を真剣に見ていた。
「なんだよ。まさかとは思うが、フシミも俺を敵に回したくないとか思ってないだろうな?」
「そのまさかだよ。僕より性格の悪いレイヤを敵に回したら、何されるかわかったもんじゃないからね」
性格が悪いのはお互い様だろうが。お前の性格の悪さは俺より劣っているとはいえ、五十歩百歩なんだからそんな変わりはしないだろうが。
自分で性格が悪いとか言うかって?言うに決まっているだろう。これでも俺のクラスメイトには、お前性格が悪すぎて魔王に引かれるんじゃないか?とか言われていたからな。
「つーことで俺たちは、お互いを敵に回したくないからパーティーを組むことにした。早速だが手続きしてくれ」
「受付でやれ。俺は書類やら後始末やらで忙しいんだよ。特に、お前らが例の貴族の罠を、発動させずに通り過ぎたせいで、『もっと高性能の罠を作る!』とか言い出して、そのアイデアを出すのに忙しいんだ」
「「なんかすまん(ごめん)」」
「いい……謝らないでくれ」
ギルマスはそう言うと、疲れた顔で二階に上がっていった。
いや、受付の横に階段あったのかよ。気づかんかったわ。
「っていうことで、パーティーの登録をしたいんだが」
「はい。承りました……というか、今まで二人で行動していて、パーティーを組むという考えが無かったことに驚きなのですが」
受付嬢が驚いた表情をしている。いや、これは驚いているけど呆れている表情だな。顔に呆れの表情が0.1%ほど混じっている。
「レイヤ、それは誤差と言うんじゃないか?」
「さりげなく俺の思考を読むんじゃねえよ」
「声に出てたよ」
マジかよ。
「じゃあ、パーティーについての説明を行いますね」
ということで、パーティーについての説明だ。いるか?いるよな?な?
ごめん、冒険者になった時と同じような説明だった。
殺し合いはしない、他のパーティーが戦っている魔物や倒した素材の横取りをしてはいけない、ランクを上げるには試験を受ける。
戦っている魔物に関して、援護はしていいんだってさ。そのパーティーの許可があればだけど。
ランクはF、E、D、C、B、A、Sの7ランクであり、例外ランクとしてZランクがある。Fが一番下で、Sが一番上だ。Sはまだ一グループしか無いらしい。マジかよ、っていうか誰だよ。
俺たち?二人とも実力がわからんからZランクになりました。ってかそんなのばっかだな。
実力がわかれば本来のランクになるが、実力がわからない内はZのままらしい。
っていうことで、俺たちはパーティーを組みました。
え、パーティーの名前?
『フリーダム』
何事も自由が一番だよな。
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