第4話 卵って茹でて食べる?焼いて食べる?

 冒険者ギルドにやってきた。

 というか、城のすぐ裏にあった。

 え、なに?城の裏だから黒?灯台下暗し?何を言ってるのかわからない。うん。俺もわからない。

 とりあえず、職業を元に戻して、扉に手をかけた。


「さて、早速中に入ってみよう」

「そうだね」


 扉を開けた。カランカランとベルが鳴った。


「おうコラ何しにきやがった」


 目の前に卵頭のおっさんが現れた。

 袖のない革鎧を着て、背中に巨大な斧を背負っていた。

 それを見て、俺は一言。


「なあフシミ、卵って茹でて食べる?焼いて食べる?」

「僕は茹でて食べるかな」

「残念、俺は焼いて食べるんだ」

「「おっさんは?」」


 目の前の卵頭のおっさんに聞いてみた。すると、おっさんの顔は茹で蛸のように真っ赤になって怒鳴り始めた。


「誰がおっさんで卵頭だ!俺はまだ20歳だし、頭は剃ってんだ!!」


 誰も卵頭などと言っていないが、おっさんは自爆してしまったため、ギルドのそこかしこから吹き出す音や笑い声が聞こえる。

 とりあえず、謝っておいた。


「すみませんでした、たま……お兄さん」

「僕の親友がすみませんね、たま……お兄さん」

「今なんて言いかけやがった?」


 ギルドの中から笑い声が聞こえる。


「お前らも笑うんじゃねえ!!」


 おっさんは振り返って、ギルド内の他の冒険者に叫ぶ。


「冗談はさておき、俺たちは冒険者の登録に来ました。中に通してくれませんか?」

「ほう?今のからかいが冗談だと言いたいんだな?」

「ええ、冗談です。むしろ、本気だったらもっとひどいですよ。なあ、フシミ?」

「ねえ、他人のふりしてていい?」

「俺が悪かった。あとお前も同罪だ」


 俺たちのやり取りを見ていたおっさんは、何が気に入ったのかわからんが、フッと笑ってどいてくれた。


「愉快な奴らだ。まあいいだろう。入れ」


 おっさんに促され、俺たちはギルド内に足を踏み入れた。


 そこに漂ってくる匂い。これは、紛れもなく木の匂いだ。

 ついでに美味しそうな料理の匂いがする。


 とりあえず、受付に行こう。

 受付の場所はどこだ?


「おいおい、受付場所を探しているのなら、俺が代わりにしてもいいんだぞ?」


 さっきのおっさんが、俺たちの様子を見てそう言ってきた。

 いかにも受付らしき場所のお姉さんたちが、こちらの方にいるおっさんを見て、顔面蒼白にしているが、なぜそんな表情をしているのかさっぱりわからない。

 だから、俺はこう言う。


「じゃあお願いしてもいいですか?フシミは?」

「じゃあ僕もお願いします」


 俺たちの答えに満足したのか、おっさんはニヤリと笑ってこう言った。


「よし。じゃあオレについてこい。試験をしてやろう」


 多くの冒険者や受付嬢に心配そうに見送られ、俺たちはおっさんについていくことになった。


 一体何をするんだろうな?

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