魔物ハンターの最後で選択肢1を選んだ場合

 俺は、まだ、魔物への復讐と魔物を根絶やしにする使命を果たしていない。

『ごめん。ティーナ俺は魔物への復讐と魔物を根絶やしにする使命を果たさなければいけないんだ』

 寂しそうに笑うティーナ。

『そう…』

 脱衣所を出て俺達は食卓につく。

『ごめん。料理冷めちゃったね』

 ステーキが木の皿に並べられている。

『冷めてもティーナの料理は美味しいよ。それに久々の肉料理』

 俺は木の皿を見つめる。

『…今日は銀の食器じゃないんだ』

『あ、え、ええ』

 俺は肉を一切れ口に運ぶ。咀嚼すると味が口の中で広がる。変だ!

『んっ!』

 椅子から転げ落ちる。ティーナは立ち上がり、俺を見下ろす。なぜだ!何で…。ティーナの頬を涙が垂れる。その場に崩れ落ち、泣きながら必死に祈りを捧げるティーナ。

『ああ、神様お許し下さい。彼を止めるにはもうこうするしかなかったのです!』

 眼を見開きティーナを見つめる。

『お許しください!お許しください!お許しください!』

 震える彼女を見て全てを理解した。俺は彼女をここまで苦しめていたんだ。自分でも止めようとしていた。分かっていた。分かっていたけど止められなかった。魔物を倒していく内に大きな力で魔物を虐殺する事が快感になって行った。復讐も、魔物を倒すという使命も魔物を虐殺する快楽を手にれる為の方便でしか無かった。

 俺はどうしようもない男だ。眼の前のこんなに大切な人を傷つけて、こんなに苦しめていたのに何もかも知っているつもりになってた。罪まで犯させてしまった。ああ、段々意識が薄れて…これも天罰だろうな…。

『私もすぐに行きます。…私の愛しい人』

 俺の唇にティーナの唇の感触がした…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る