実はすごい! 校閲ガール(石原さとみ)


大澤:えっと、ロッキン神経痛さん?


ロッキン:はい。


大澤:うわ、マジだ。ウケる。おつかれ~! いちおう初めまして? なんか、初めましてって感じ全然しないけど。


ロッキン:そうですね。全然初めましてっていう感じではないですね。


大澤:ツイではよくツルんでいるからね。あ、今回はばっちりオンタイムじゃん。やったね。えっと、じゃあもう始めるけど、恒例の紹介からね。


 ロッキン神経痛さんは実は大澤がデビューする前からの知り合いで、知り合い? いや知り合いではないんだけれど、なんか本物川小説大賞っていうのがあって、インターネット上では一緒に小説書いたりしてキャッキャ遊んでた仲で、第二回カクヨムweb小説大賞で「限界集落オブ・ザ・デッド」で見事ホラー部門で大賞を受賞してデビューした作家さんです。だから、作家さんっていうか、もうぜんぜん身内っていう感じであんまり作家さんとお話するっていう感じの緊張感とかないんだけど、でもまあ作家さんです。よろしくお願いします。


ロッキン:よろしくお願いします。


大澤:で、書籍版「限界集落オブ・ザ・デッド」読んだけど、なんかちゃんと小説っていう感じになっててビックリしましたよ。なにしろわたしは「限界集落オブ・ザ・デッド」をたぶん、旧版からすべてのバージョンを読んでいるので進化の過程をぜんぶ丸ごと知っているんですけれど。やっぱり、最終的な書籍版の完成度がすごく高くって。


ロッキン:ありがとうございます、多分コメントやツイッターの反応を脳死状態で柔軟に取り入れた結果だと思います。


大澤:なんだ本当にこんな小説みたいな小説を書くようになったのかって、とても感慨深かったです。文章を読むとたしかにロッキンのテイストはあるんだけれど、紙の本になるとなんか5割くらいのバフ効果かかるよね。頭が良さそうに見える。


ロッキン:あれ何ででしょうね、縦書きだから?(知能ゼロ) 初期版から1年間色々書いたおかげで多少力はついたのもあると思うんですが、小説をちゃんと読むようになったのが大きいかなと。それまでは小説ってふんわりとした概念だったので。あとはプロの校閲ガールのおかげかなと。ほとんど原稿が真っ赤になって帰ってきました。


大澤:わたしも書籍版「ひとくいマンイーター」とか読み返すとすっげー頭良さそうでびっくりする。自分が書いたと思えない。校閲ガールの力は偉大です。


ロッキン:もしかして作者はこう言いたいのかな?というのを赤ペン先生してくれるんですよね。僕のボキャブラリには到底ないカッコいい言い回しが提案されてたので、「じゃあそれで」って返事するの。作家はみんな頭が上がらないと思います


大澤:わたしの場合、文章とか表現がすごい独特なんでいろいろと困惑すると思うんですけれど、ちゃんと意図を汲んだうえで念のためみたいな感じで提案してくださるし、そういう、校正さんの指摘が入っているところは、やっぱり意図的な表現にしてもちょっと突っ走りすぎな場合が多くて、じゃあもうちょっと読者に寄せるかみたいな。基本的には「分からないんだけどなんか分かっちゃう」くらいのラインを攻めてヘンテコな文章を書いているので、突っ走り過ぎてもダメで、読者もギリギリ追いつけるくらいの前を走らないといけないんだけど、そういうのを測る意味でも校正が入るのはとてもありがたいです。


ロッキン:やっぱ人が自分を俯瞰して見るのは限界があるから、編集も含めて一旦冷静な目で見てもらうのが凄い大事なんだなと。そう言う意味で、過去に書いたものを自分で見直す。書き直すってのは冷静な第三者に見てもらうのにも近いと思います。


大澤:そうそう。寝かせるとね、忘れるからね。すごく客観的な目で見れちゃう。アラが目につくことも多いんだけど「へえ、こんな面白いこと自分が考えたんだ?」って感心することもあって、それも、そんな物語の根幹に関わったりするような部分じゃなくて、ほんのちょっとした部分とかなんだけど、これはもうちょっと掘ってみてもいいな? みたいな。鉱脈てきな。


ロッキン:小説を書く人って誰しも、大なり小なり無意識に思ってる本音みたいなものを引き出して書いてると思うんです。だから自分でも感心するような鉱脈が見つかったりする。小説は嘘をつけない。本一冊なら10万字も書くんだから、絶対に何かが現れてくる。


大澤:小説家みたいなことを言うね(笑)


ロッキン:秋永さんのインタビューを読んでから来たせいだ、きっと(笑)


大澤:別に無理した頭良さそうなこと言わなくてもいいからね。読者に小説の書きかたを教えてしんぜよう! じゃなくて、わたしたちが小説の書きかたを知りたい、っていう対談だから。



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