第16話 第2会議室にて
『第2会議室』
あたし達が通された部屋は、20人程収容できそうなスペースに
机と椅子がロの字型に並べられ、ホワイトボードやプロジェクターが
置かれていた。
壁には大型のプラズマテレビが備え付けられている。
重厚な木の扉が閉じられた。
下座には真柴と長瀬、相対するようにあたし達が着席した。
「で、どの様なご用件でしょうか」
真柴は机の上で手を組み、見据えるような目をして言った。
いきりたった忍が、長瀬を指差し
「あなたの部下が、いずみお姉様を拉致したのよ」
「ちょ、ちょっと」
あたしはあわてて、忍の腕を引っ張る。
指差された長瀬は、大きく肩を震わせると驚いたような顔をした。
「拉致って?意味分かんないっす。何の話で…」
「とぼけないで!お姉様をどうしたのよ。無事なんでしょうね?
もし、何かあったら、ただじゃおかなくってよ!」
ひとりで捲くし立てる忍を、黙って見ていた真柴が不意に
あたしの方を向いた。
「お嬢ちゃん。この犬みてぇに、キャンキャン吠え立てるお友達を
少し黙らせてくれないか?」
「犬ですって!」
忍が、ひと際大きく吼えた。
「美月さん、あなたこの失礼な男とお知り合いなの?」
いきなり、怒りの矛先があたしへと向けられる。
厄介な事になっちゃったな…
「えっと…ちょっとした知り合いで…」
「婚約者だよ」
真柴があっさりと言った。
唇の端を上げ、からかうような目をしている。
「婚約者ですって!」
「いえ、それは、親が勝手に決めた事で、あたしは全然…」
「何で最初に言ってくれなかったの?ひどいわ。私、あなたを信用して
相談したのに!!」
忍のいきおいに拍車がかかり、その声はどんどん大きくなっていく。
「まったく、えらい騒ぎだな。出入りでもあったみたいだ…」
真柴はため息をつきながら、あたし達を見た。
「え?出入りって?」
真柴がにやりと笑う。
「あれ、言ってなかったか?おれは真柴組8代目組長だって」
えっ?組長って…?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます