第6話 納税は国民の義務なのです

博士は“政治”を始めました...。


博士は財務大臣であるツチノコを連れて、カフェへと出かけました...。


「あっ、博士ぇ、ツチノコちゃんもぉ?珍しい組み合わせだねぇ!」


アルパカはいつもの調子で答えた。


「こんなとこになんでわざわざ来る必要が...」


「今は首相です。もっとVIPな待遇をしてもらいたいですが、仕方ないです」


重いため息を吐いた。


「お茶飲みに来たのぉ?」


「いえ...」


博士がそう言うと不服そうな顔を浮かべた。


「何だ...、違うのか。ペッ」


「今のは不敬罪で捕まえてやりたいですが...大目に見ましょう。税金について話に来ました」


「ぜいきん?なにそれ?」


アルパカは首を傾げた。


「今度からジャパリコインで紅茶を提供するようにしろ。儲けを出したらコインを1枚、国が預かる」


ツチノコがそう説明した。


「なんかよくわかんないにぇ...」


「まあ、安心するのです。

税を管理する役職も作るのです。

とにかく今はお金をいっぱい稼いでください」


博士はそう言った。


「まあ、わかったよ。やってみるよ」


そして二人はカフェを後にした。


「けど...、税なんて取らなくてもいいんじゃないか?」


「もう既に国民の殆どに“こくさい”を強制発行しました。やる必要は無いといえば無いですが、お金は沢山あって困るものではないのです」


「ん...?何だ、国債って」


「国が国民から借金する事ですよ。

まああの人達は勝手に自分の財産が国に取られてるなんて知りはしませんから」


クスクスと博士は笑った。


「えぇ...」


思わずツチノコは困惑した。


「借りた額は少額にするよう、あなたの所で偽の書類を作ってください」


「おいそれって5枚のジャパリコインを借りたのに2枚しか借りてないって言うのと同じだろ...

嘘を付けってことか?まずいだろそんなことしちゃ...」


「国家ぐるみなら、犯罪にはならないしそもそも嘘を付くなという法律を作ってません。よって訴えられても裁くルールがないのですよ。国の長はいいですね。

自由に何でも出来て」


「そんな事してたら自分に返ってくるぞ...」


ツチノコは上を向き自分を抱え飛んでいる博士にそう忠告した。


「自分の身は自分で守れるのです」


ふん、と鼻を鳴らした。


「帰ったら税金を作るのです!

国民からお金を吸い上げて、困った国民は私に泣き付くでしょう!」


「はぁ...」


重い息をツチノコは吐いた。




一方、博士が留守の間、私はフェネックといた。


「アライさんは大丈夫なのですか?」


「うーん、手伝うのだーとか言ってたから、じゃあ外国に送る手紙を書いてって言った」


「ずっと書いているのですか」


「そうだね」


目を閉じ、フェネックはそう言った。


「博士、やめてくれませんかね...

首相を」


「どうしたのさ?」


「博士は、実は、わがままで自己中心的な所がありましてね…。

私が止めてあげないと暴走してしまうんですよ」


「へぇ...、あの博士が」


両手を頭の後ろに回し、そう言った。


「今、博士は国のトップです。

自分が満足感を得られるならどんな手段でも選ばないでしょう...」


「うん、それは副総理としてもまずいね。保険を掛けておこうか」


「保険...?」


「私を誰と思ってるのさ。

あの“かばんさん”の親友だよ?」


片手の親指と人差し指を擦り合わせた。


「何をするつもりですか...」


「“お友達”の力を借りるだけさ。

持つべきものは友だねー」


フェネックは微笑んで見せた。




「タイリクさーん!」


「何だ、キリン」


「法務大臣になったって聞きましたよ!」


「ああ...、辞めたいよ」


「辞めたい?」


「だってつまらないじゃないか!

何が面白いだよ...」


キリンは腕を組んで考えた。


「だったらクビになればいいんじゃないですか?」


「クビになる?」


「自分の名声に傷が付くかも知れませんけど...」


「フレンズをビビらせてるし、嘘もついてる。今更どうってことない。

で、どんな方法で?ヤギって言うなよ?」


「言いませんよー...。言葉を使うんです」


「それはつまり...?

あー...、なんかで見たことあるなぁ。

失言っていうんだっけ?」


「よく存じ上げませんが…、

まあ人が聞いてあまり良くない言葉を言うんです。そうすればクビになるんじゃないですか?」


「それは良い考えだ、やってみるよ」


「お役に立てたなら、光栄です!」


キリンは笑顔を見せた。


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