第2話 軍事力を持つのです

博士が出掛けたので私はついて行く事にした。

着いた先は“ゆうえんち”の近くであった。


「はか...、首相、ここで何をするのですか」


「“ぼうえい”の職に相応しい者がいるですよ」


(遊園地...、ぼうえい...、ここにいるフレンズ)


「きゃー、セルリアンがいるのですー!」


「なっ、いきなり叫んでどうしたんですか!?」


すると突然、


「どこだ!?」


「こんにちは、ヒグマ」


「あっ、博士?どうなってんの?」


困惑した面持ちで博士を見た。


「あなたに話があるのです。

出来ればキンシコウとリカオンも

連れて来て欲しいのですが...」





ヒグマもなんの事かわからなかったが

セルリアンハンターのメンバーを連れ

図書館に来た。


私は博士の横でその様子を見ていた。


「ヒグマ。あなたは、セルリアンと戦ってるのです。戦闘慣れしている。

その経験を踏まえ、“防衛大臣”に任命するのです」


「ぼ、防衛大臣って...、何するんだよ」


ヒグマは困惑した顔を浮かべた。


「軍隊を作ろうと考えてるのです。

あなたは軍の長なのです」


博士の言ってる事が知らない事の連続なので理解していない様だ。

私は、助け舟を出した。


「えっと、セルリアンに対して個々の

チームを作って対処することを

軍隊というのです。首相はそれを提案しているのです」


「まあ、防衛とかなんだかはともかく、協力して欲しいならするけどさ...」


ヒグマは腕を組んでそう言った。


「それならありがたいのです。

それからキンシコウとリカオン」


「はい?」


「何ですか?」


2人は顔を上げる。


「2人は将来的に軍隊の長官になって貰います。私は忙しいので、新しいハンターメンバーを募ってくれるとありがたいのです。特に海に住むフレンズを勧誘してくれたら嬉しいですね」


「わ、わかりました...」


「オ、オーダーきついですね...」


2人は苦笑いを浮かべていた。




そんなこんなで防衛大臣を決めた博士は満足そうだった。


「これでここも安泰ですね...

アイツらがどこまでやってくれるか。

最悪の場合は“ちょうへい”も検討しないとですね」


「こんなパークに軍は必要なんですか...?」


「海軍を作れば海を守れるのです!

そしていつあの黒いセルリアンみたいなやつが現れるかどうもわからないですし」


「海を守る?セルリアンはわかるにしても...、何故海を守る必要が...?」


「本を読んでないのですか?

国家には“領土”、“領空”、“領海”があるのです。12海里が領海、260海里の範囲が“排他的経済水域”なのです。

経済水域内は資源を発掘したり、島を作ったり、海の底を自国が自由に開発できるのです。よく考えてみてください。

自分のなわばりが誰かに入られると

嫌ですよね?」


博士はあの“分厚い本”を熟読したのだろう。私にはさっぱりだ。


「なわばりを守るための軍なのですよ。

戦力の不保持を掲げている国があると、本に書いてあったのです。

ふざけたことをする物です。

強いものが優位に立つという事は、

自然界の掟なのですよ。いつまでも

話し合いで事がうまく運ぶとは限らないのですよ」


独り言の様にブツブツと呟いた。


「は、はぁ...」


「将来は国を発展させて、“さんぎょーかくめー”を起こすのです!」


「く、国って...、島の長じゃないんですか?」


「きょうしゅうを国にすればいいだけの話なのです。それより、早く本を読んで賢くなるですよ、官房長」


「....」


私も読まないと博士の話に付いていけない。しかし、海の底のことまで気にする様になるとは...。

博士が変わってしまったようで少し寂しかった。

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