第7話

「どこか行く?」

「この近くになんかあったけか?」

「ない」

「なら、どこに行く気だったんだ!?」

「急に大きい声出さないでよ⋯⋯」

「すまん」

「海外とか行く?」

「おれ、パスポートないぞ?」

「大丈夫です。作っております」

「だから、ねっ?」

「だって飛行機だって⋯⋯」

 いや、この家の広さとかを見れば⋯⋯

「プライベートジェットあるし。」

 やっぱりか!

「滑走路は⋯⋯」

「専用のがあるし。」

「嘘だな。」

「うん。よく分かったね〜」

「嘘つく時にちょっとした癖があるんだな」

「え!?」

 やっぱり分からなかったんだ。

「で、行くの? 行かないの?」

 行ってみたい。でも家族がな⋯⋯

「家族の心配なら大丈夫でございます」

「はい?」

「貴方様そっくりの人間を送り込みました」

「何してんの?」

「じゃあ、行くってことで」

 なんとなく分かったことがある。こいつが学校に来なかったのは⋯⋯

「お前、不登校になったのさっきのだけじゃないだろ」

「バレた?」

 バレるだろ!もう分かったわ!

「海外旅行に行くためだったんだろ」

「違うよ?」「ご名答でございます」

 どっちじゃ!?

「当たり」

「まぁいいや。で、服とかはどうすりゃいいんだ?」

「ご用意しておりますのでご心配なく」

「それを見ることは⋯⋯」

「出来ません」

 なんか心配なんだよな⋯⋯

「大丈夫です。カジュアルな服装を詰めましたので」

「それが心配なんですけど⋯⋯」

 この人達の感性おかしいから。

「我慢してください」

「⋯⋯わかりました」

 仕方ない。承諾するしかない。

 絶対逆らったら親父までクビにされかねない。

 そして、飛行機に乗った俺と彼女。

「ふたりしか居ないんだけど⋯⋯」

「あなたがたで操縦してください。」

「無理ですよ!」

「大丈夫、私が免許持ってるから」

「だったら⋯⋯じゃないですよ!」

「なんで?」

 なんでこの家の人はこうなのかな・・・

「俺は1人で客室にいろと?」

「貴方様もそこにいるんですよ?」

「はい?」

「大丈夫です」

「大丈夫じゃないだろ!」

「仕方ありませんね、じゃあ私が操縦します」

「1人で大丈夫?」

「こんなこともあろうかとちゃんと呼んできてます」

 もう1人はなかなか真面目な感じで若い。これなら多分大丈夫だろう。(感性もこいつらよりマシだろう。)

「じゃあ、2人でのんびりしてるわね」

 それから2人はプライベートジェットの苦労を知ることになる。

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