第4話

「誤解だから許してくれ!」

「ドラマだったら殺されてるよ? 君」

「え?」

 何故か笑顔だった。

「全部知ってたよ」

「⋯⋯?」

 状況が読み込めない。何が何だか全く分からない。

「まだ分からないの?」

「全く」

「なんでわかんないのかな〜?」

「分かんないから!」

「なんで逆ギレするのさ?」

「質問攻めにするな!」

「だから、ドッキリだって」

「は?」

「ちょっと手伝ってもらってたの」

「何が何だか分からないんだが⋯⋯」

「あの子、私たちを応援してくれてるみたいだよ?」

 俺は未だに理解が出来ていない。

「バスの運転手も乗客も全員仕掛け人」

 ようやく理解した。

「要するに俺がお前を好きにさせようとしたってことか?」

「ようやく理解した?」

「なんとなくは⋯⋯」

「なんとなくは⋯⋯じゃダメだよ」

 何故か優しい口調だった。

「ごめん、なんか気持ち悪い」

「も〜いいからこっちに来る!」

 そこには黒のセダン車があった。その車に俺は押し込まれた。

「これじゃあまるで誘拐じゃねぇか?」

「君が理解出来てないからでしょ」

「だってよ⋯⋯」

「車出してください」

「この体勢じゃ⋯⋯!」

 俺の上に彼女が覆いかぶさるような体勢になっていた。アニメとかなら胸を触っているところだろう。

 ――残念ながらそんな展開にはならなかったが。

「絶対、胸触れると思ったでしょ?」

「こいつは俺の思考を読めるのか!?」

「はい、左様でございます」

 初めて車のドライバーが口を開いた。

「ちょっと⋯⋯!」

「そんな特技が⋯⋯」

「違うわよ!?」

「お嬢様、もう無理があるかと」

「誰のせいだと思ってるのよ⋯⋯」

 そして彼女はようやく俺の身体から離れてくれた。

「私が高校に入れたのは裏口入学なの」

「それ、言っちゃダメなやつ」

「いや、大丈夫。嘘だから」

 彼女は今までで1番早く嘘だと白状した。

「ならはじめから言うなよ⋯⋯」

「でも、ある意味じゃあ裏口入学だから」

「⋯⋯」

 それが不登校の話に繋がるとは全く思っていなかった。

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