第3話

「そんなくだらないことで話さないってどうゆう事だよ?」

「くだらないこと⋯⋯?」

「くだらないだろ」

「そう思ってんだ⋯⋯」

「悪いか?」

「いや」

「なら⋯⋯」

 その続きをいう前に彼女はバスを降りてしまった。

 その後、LINEが届いた。

 彼女かと思いすぐに開くと



 ――彼女だった。

 そこには「仲直りする」とだけ書かれていた。

「よっしゃ!」

 周りの目が冷たい。心の声が漏れていたようだ。

「すんません⋯⋯」

 俺は別のバスに乗り換えることにした。

 すると――

 次に来たバスに彼女が乗っていた。

 ワンピースにカーディガンを着た春らしい格好だったのだが、今の季節は冬だ。今着るにはありえない格好だった。

「上着貸さないんだ⋯⋯」

「貸したら俺が凍え死んでしまうからな。」

「せめて暖めてよ⋯⋯」

「そんなマンガみたいな行動とると思ったのか?」

「仲直りするんでしょ?」

「そうだけど⋯⋯」

「なら貸してくれるよね⋯⋯?」

 物静かな女子ほど笑顔が怖い。

「⋯⋯分かったよ」

「やった!」

 今度の笑顔は普通に可愛かった。危うく鼻血が出るかと思った。

 一緒にジャンバーにくるまり、天国のような香りに包まれていた。

 しかし、次のバス停でその幸せは一気に修羅場となるのである。

「あれ? その子と何してんの?」

「お前には関係ないだろ?」

「私の彼氏なのに関係ないって酷くない?」

「彼女⋯⋯?」

 目が怖い。周りが注目する。

「ち、違うんだ!」

「何が違うの?」

「ちょっと降りてくれるか?」

「なんで?」

「詳しく話すから」

「ならここでもいいよね?」

「ここじゃあダメだ」

 次のバス停で彼女は何とか降りてくれた。

「⋯⋯で?」

「どこか座るところ探すか⋯⋯?」

「いい。ここで話して」

「あいつは元カノだ」

「で?」

 ――全く信用されてねぇ

「付き合うというのも形だけだ」

「で?」

 完璧に怒っている。

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