第20話 ペーパーナイフ、起動
戦闘は既に始まっていた。
一目見て。
「不味い!」
そう言って透里が姿を消す。
同時に飛行機体が空中に現れた。
闇の色した機械仕掛けの梟。
透里の『虫眼鏡』だ。
「いざとなったらこの空間から脱出しろ。戦闘を始めなければ脱出は可能だ」
梟は高速で戦闘の中心へと飛び去る。
そして。
僕にも戦況が飲み込めてきた。
騎士団側が有利だ。
騎士団の白い機体は以前見た物と同じ。
羽のついた重騎士型だ。
だが今までとは相手が違う。
世界を書き換える最強アカシック・ウェポンでもなければ。
皮肉屋で冷徹な観察者の透里でもない。
人数に傲った烏合の衆だ。
飛行して追い詰める白い機体から何とか逃げているような状況。
透里は善戦している。
追い詰められたアカシック・ウェポンを援護して白い機体から逃がしたり。
空中から強襲をかけて白い機体の連携を乱したり。
でもいかんせん1機。
そして攻撃に決定力が足りない。
そう。
今足りないのは数と力だ。
相手を打ち負かす”力”だ。
気がつくとポケットに手が伸びていた。
ふっと風景が歪む。
『
必要なのは攻撃の決定力。
そして速度。
『要求了解。
視界が変わる。
今までより遙かに高く。
3階の教室位の高さに。
流れてくるデータで僕は今の自分の姿を理解する。
黒色細身の異様に脚と腕が長い巨人。
装甲も薄め。
そして武装は長い太刀。
斬撃と斬撃から出る衝撃波が攻撃武装。
僕=ペーパーナイフは戦場を睥睨して。
そして走り始めた。
まずは手近な左前方。
白い機体2機に褐色の重そうな機体が追い詰められている。
透里の『軽石』と同系統と思われるが更に装甲が分厚い感じ。
その分動きが遅いので狙われたのか。
それとも逃げる途中で機動性の無さ故置いていかれたのか。
褐色の機体は厚生棟を背にして砲撃を繰り返している。
しかし白い機体2機の連携に翻弄されて命中できない。
ペーパーナイフは走りながら両手剣の束に手をかける。
高速で走りながら全力で両手剣を振り切る。
発せられた衝撃波は白い機体を背後から両断した。
残った白い機体と褐色の機体がこっちに注意を向けた気配。
だが。
残った白い機体がその瞬間はじけ飛んだ。
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