第15話 来訪者と面倒事
本日の日替わり弁当はシャケ唐揚げコロッケ明太弁当だった。
ミニクリームパン5個入りとどっちが健康的だろう。
透里と話し合ったが結論は出なかった。
まあそれはそれとして。
まったりと最後の沢庵まで食べきったその時。
インタホンの表示ランプが点滅した。
「津々井君、お面会です」
「はいすぐ行きます」
ボタンを押してそう返事して。
僕は慌てて外へ出る。
ちなみに寮に入った事がある人ならわかるかもしれない。
面会とご面会とお面会の違いを。
面会は同性の生徒や学生同士の場合。
ご面会は教師や父兄等の場合。
そして『お面会』の場合は異性だ。
元々は生徒の間の隠語だったらしい。
今では寮監の教師すらこれを使っている。
つまり僕に面会に来たのは異性の生徒という訳だ。
まあ僕のところに来る異性なんて9割までが透里なのだが。
ちなみに残り1割は学級行事とかの関係だ。
ただ普通は。
知り合いなら面会なんて手段は使わない。
SNSで連絡を取ればそれで済む。
そして僕にわざわざ面会を使って会いに来る人間の心当たりはない。
いずれにせよ異性の面会相手を長時間待たせておく訳にはいかない。
へたすれば明日の学校の話題になってしまう。
そんな訳で行ってみると。
まあ顔見知りと言えない事もない女子生徒が受付で待っていた。
1年C組の西山みどりだ。
中学時代に同じクラスになった事がある。
それ以上の接点はない。
会話もした憶えもない。
挨拶くらいはしたかな。
そんな接点だ。
「どうしたんですか、こんな時間に」
「実はお願いしたい事があって」
上目遣いでこっちを見る。
正直あまりいい印象は無い。
「面会室で聞きましょうか」
面会室は録画されている。
面倒な事が起こっても何とかなるはずだ。
「面会室は不味いの。実は、アカシック……」
言葉を濁らせる。
何の関係はだけは取り敢えず了解した。
かと言って外は暗くなりかけている。
でもこいつとその中外へ出ようとは思わない。
一度同じクラスになったのに接点が無いのは、それなりの理由がある訳だ。
だからこいつと誤解されるような事はする気はない。
「なら、使えるかな」
僕はジーパンの右ポケットを探る。
硬いものが手に触れた。
透里に貰ったナイフ。
念の為にジーパンのベルト通しにくっつけてポケットに入れていたのだ。
「別空間、起動」
そう思った瞬間。
ふっと周りから音が消えた。
上手く行ったらしい。
「ここなら問題無いですね。起動したのは僕のアカシック・ウェポン。だからそっちが巻き込まれる可能性も低いでしょう」
そう言って受付前の椅子に僕は腰掛ける。
「それで用件は何ですか」
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