第4話 男子寮と侵入者
秋津学園の中等部、高等部は全寮制。
大学部もほとんどは寮員だ。
『人種、亜人種等各々の慣習と権利保障のため』に全室個室。
個々にキッチンとシャワールームまでついている。
以前はは確か『個々の人権尊重と独立心涵養のため』だったと思う。
自信は無いけれど。
世界が変わっても腹は減るし眠気も訪れる。
そんな訳で僕は寮の自室でまったり夕食を食べていた。
厚生棟の売店で買ったオリジナル日替わり弁当を。
カツと唐揚げとハンバーグが入った御飯とおかず別容器の日替わり弁当。
値段400円の割にボリュームがあるので中学時代からよく食べている。
テーブルなんて置く余裕は無いので机で弁当を広げていると。
キンコーン。
インタホンが鳴った。
誰だろう。
取り敢えず今日尋ねてきそうな心当たりは無い。
取り敢えずインタホンの応答ボタンを押して応答。
「はい、何でしょうか」
「十字架回収委員会です」
僕にそんな知り合いはいない。
カメラの映像には上級生らしい白人系男子2名。
どちらも知っている顔では無い
「サークル等の戸別訪問は寮員規則で禁止となっています」
これは事実だ。
サークルのほか、宗教だの押し売りだの色々事案が発生している。
2年前には高等部で戸別訪問により退学になった事案もあった。
あれは確か宗教活動だったと思う。
そのためこのインタホンには寮監呼び出しボタンがついている。
これを押すと寮監室にインタホンの音声とカメラ映像が送られる仕組みだ。
「我々の大義にそのようなものは関係ありません」
これは宗教くさい言い方だ。
「寮監ボタンを押しますよ」
後に報告が面倒だけれど場合によってはやむを得ない。
こういう事態用の寮監ボタンだ。
「その必要はありません」
間違いない、これは寮監事案だ。
僕がボタンを押そうとしたその瞬間。
扉が開いた。
鍵がかかっていたはずなのに。
そして寮監ボタンが押せない。
「何故」
とっさに入口から離れる。
そう言っても狭い部屋だから2歩が限界だ。
「鍵だの装置だのは我々の
入ってきたのは無表情な白人系男性2名。
2人ともそっくりだ。
そしてやはり見覚えは無い。
ただ、今の言葉にはちょっとだけ聞き覚えがあった。
昼間に透里から聞いた言葉。
『アカシック・ウェポン』
それが何を意味するのかは僕は知らないのだが。
「何の用だ」
出来るだけ大きな声で尋ねる。
周りの部屋に聞こえるようにだ。
「勝手に鍵をこじ開けて入ってきて、何の用だ」
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