三、巫女の顔、女の顔。
第三章、プロローグ&本文その一
──本家を訪れるのは、これで何度目だろう。
まだまだ両手の指で数えても
そう。ここには『あの子』が、いるのだから。
あの見る者すべてを石にしてしまうかのような、
「──
長く曲がりくねった迷路のような渡り廊下を、もんもんと悩みながら歩いていた僕の胸元に、突然何かが勢いよくぶつかってきた。
あまりの衝撃に呼吸と心臓が止まりかけ、とっさに怒鳴りつけようと口を開きかけたとたん──
「
その質問の内容は
「え、ええと、××ちゃん?」
その時の僕は、今まで
しかしその少女は、僕の立場を忘れた
……まるで生まれてからこの方、『人形』のような無表情などしたことのないように。
「うん、そうじゃそうじゃ。
そう言って僕の腕を強引にとり、屋敷の奥へと引っ張っていく少女。
あまりの展開に困惑しなすがままの僕にひきかえ、彼女の足取りはあくまでも
──まさにたった今、神に己の
三、
「『双子』を扱った作品というのは実に
「……はあ、そうですか」
「かといって、けしていつまでもその魅力が語り
『我々』って誰ですか。勝手に仲間に入れないでください。
時は放課後。僕はいつものごとく私的アシスタントとして、ここ
しかしこの人、『
しかも、今日のお題はなぜか『双子』である。何でよりによってそれなのか。頼むからいきなり『メタ話』だけはやめてくれよ。ネット投稿作品でそれをやったらイタいから。
「しかし『双子作品』と言えば何と言っても、わが国が
こちらの
「一口に『双子作品』と言っても、彼女の多才ぶりが十二分に発揮され、その作品ジャンルも、コメディー、SF、ファンタジー、ホラー、シリアス、サイコと、多岐にわたっているんだけど、どの作品にも土台をなしている基本原理というものがしっかりあって、それこそがまさしく『エロス』と呼ぶべきものなんだ」
「エロス……ですか?」
「そう。あくまで『エロ』などではなく『エロス』なんだ。思春期にさしかかった少年少女が感じるこれまでにない言い知れぬ衝動と焦燥感。愛しているのにあの人を壊してしまいたい、そして同時に自分自身をも壊してしまって、お互いにバラバラになりながらも最後には
うら若き女子高生が神聖なる学園の生徒会室で、『エロエロエロエロ』と力説するんじゃねえ! 見ろ、日向お嬢様が顔を真っ赤にして、もはや爆発寸前だぞ。
「彼女の『セーラ・ヒルの
そんなの、あんただけだよ。
「さすがの私も考えすぎかと思っていたこともあったけど、同じ作者の『
Web作家の皆さん、作品をサイトに投稿する際には、最低十回は読み直しをしましょう。その作品はあくまでも可能性の上とはいえ、世界中の皆さんの目に触れることになるのです。常に
一人で勝手にエキサイトし暴走する副会長。このままにしておきたい気もするが、そうもいかない。日向お嬢様の血圧が心配だ。
「つまりあなたは、過去の名作マンガに対する
「いや、それは
メタもだめだが電波もやめてください。ちなみにタイトルは『
「冗談はさておき、とにかく双子の物語と言ったら、『エロス』ももちろんだが『タナトス』もつきものなんだ」
「たなとす?」
……某アニメで、
「『死への衝動』さ」
「──」
「ま、君も、気をつけるんだね」
ボクニ、イッタイ、ナニヲ、キヲツケロト。
その思わぬ言葉に不意をつかれた、一瞬のことであった。
持ち上げられる
「──ちょっと、夕樹‼」
机に両手をついて、勢いよく立ち上がる日向お嬢様。表情は……見たくない。
「今日も私の話を聞いてくれた、お礼だよ♡」
そうささやきながら、顔を遠ざけていく副会長。
唇を奪われたファーストキスだったのにしかもその最初の相手が好きでもないオタクの王子様(レズ疑惑)でさらにそのうえ
「うわあああああああああああああああああああああああああああああーん!」
「おやまあ。何だか立場が逆のような気もするけど」
「夕樹!」
後方でお二人が何やら言い争いを始めたようだが、今はそれどころじゃない。早くこのブロークン・ハートを何かで
「──先輩先輩先輩先輩先輩先輩先輩アマノ先輩!」(ただし虚言癖のほう)
僕はあくなき現実逃避をくり返しながら、
──その
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