11.死の隣にある

 もう何年も前、5ちゃんがまだ2ちゃんで愛用専ブラギコナビも使えていて、一応トップにひろゆきがいた頃、私はメンヘラ板をうろついていました。

 そこで見た書き込みを、今でも忘れられないでいます。細かい文章とかは忘れてしまってあくまでも内容やニュアンスではありますが。もしかしたら何かコピペだったのかもしれない。でもそれは自殺を考えていた私の視野を少し広くして、少し救ってくれた書き込みでした。


"自殺をすることにした。どうせ死ぬのなら何か変なことをやろうと思い、女装して街に座り込んでいた。奇異の目を向ける人もいたし、笑う人もいたし、声をかけてくれる人もいた。いろんな人がいた。"


 こんな感じの内容だったと思う。もしかしたらログを探せば見つかるかもしれないけど膨大な量なのでめんどうというのもあるし、はっきりさせないほうがいいものもある気がしています。

 私はこの書き込みを見て泣きました。この人がその後死んでしまったのか生きることにしたのかはわからないけれど、私はこの突然女装して街に座るという行動に、意味のわからない行動にとてつもなく感動したんです。そこには自由があるから。何にも縛られない、しがらみもない自由があった。

 死のすぐそばにしか自由というものはないのかもしれません。

 結局私は死ねないまま生きているし、今後も自分の意志で死ねるかはわからない。でも死の隣りにある自由に私は焦がれているし、それが死のそばにしかないこの世に絶望しています。悲しいね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る