第2話 潔癖症について

 さて、今回は潔癖症について語りましょう。

 昨今では、TVで潔癖症芸能人を見かける様になりました。

 ただ、自己をさらけ出し、潔癖である事を公表出来る人は、ごく少数でしょう。

 他人に言い出せずに、我慢してしまう方が、圧倒的多数だと思われます。


 潔癖症との上手な付き合い方は、周囲の理解が非常に大切です。

 もし、これをお読みになった方の傍に、潔癖症で悩んでらっしゃる方が居れば、理解を示してあげて下さい。


 潔癖症は、行き過ぎた綺麗好きと思われるかもしれませんが、れっきとした精神疾患です。

 そして、潔癖症の行き着く先は、社会生活の不能です。


 非常にざっくりとですが、経験上における潔癖症の推移を記載します。

〈初期〉

 自分の身の回りが綺麗で無いと気になり、つい掃除してしまう

〈中期〉

 他人が触れたものが不潔で有ると感じ、触れなくなる

〈末期〉

 直接・間接に係わらず、ありとあらゆる物が不潔に感じ、外出はおろか、日常生活が困難になる


 ~買ってきた野菜を洗剤で洗う~


 この様な映像を見た事が有るでしょうか?

 これを異様に感じかたは、正常の感性の持ち主です。

 重度の潔癖症になると、その位しないと買ってきた物を口に入れる事が出来ず、そこまでしても口に入れるのは、気持ち悪いのです。

 人の手・機械、直接・間接問わず、いずれかに他人が介在している以上は、全てが不潔な物に感じます 。

 その為、食事を始め日常生活が困難になります。


 それどころか、人が吐いた息を吸うのが嫌だ、外の空気に触れるのが嫌だとなります。

 人が不用意に咳をした時の飛沫が、空中を浮遊している。

 誰かが風に飛ばした鼻くそを、吸い込んでしまうかも知れない。

 よって、外に出る事がとても辛くなります。

 下らないと思いますか?

 重度の潔癖症患者には、重大な事なんです。


 自分が触った物は平気かと問われれば、否です。

 なので、やたらと身の回りを掃除します。

 更に、自分自身が一番汚い物と感じ、異常に清潔で有ろうと、やたらと手や身体を洗ったり、除菌のウェットティッシュで身体中を拭きまくったりします。

 心情的には、皮を全て剥ぎ取りたい気分になります。


 この様に、潔癖症は精神疾患の一つで有り、重度になると日常生活や社会生活に重大な影響を及ぼします。

 もちろん潔癖症が原因で死亡したニュースは聞いた事もありません。

 しかし重度の障害者には、社会生活が困難になる危険性を孕んでいます。


 潔癖症の症状は、精神科若しくは心療内科の先生に相談しても、「薬物治療は難しい、少しずつ色々な物に触って慣れる様にしてはどうか?」と言われます。

 そう言われても困る・・・

 慣れろと言われても無理・・・

 なので、メンタルケアが必要なのだと思います。


 もちろん、専門家の下でメンタルケアを行うのが一番なのは、言うまでも無いでしょう。

 絶対にメンタルヘルスの専門医へ、通わなくてはいけないのか?

 答えは、否でしょう。

 例えば、簡単な自己暗示を繰り返し、無理の無い範囲で慣れていく事も、一つの手段だと考えます。


 例えば、物に触る時には、汚くない大丈夫と、自分に言い聞かせる。

 自分が汚く感じても、汚れてない大丈夫と、自分に言い聞かせる。


 また、潔癖症の治療については、メンタルケアだけでなく、周囲の理解と必要です。

 他人から見た異常な行動は、本人も異常だと感じています。

 その為、自分が潔癖症で有る事は、他人に言い出し辛いです。

 周りの人が、自分の悩みをわかってくれる。

 これだけでも、救われる心境になります。


 いずれにせよ治療は、とても困難を極める事だと思います。

 厳しいようですが、意志の診断を受けようが、メンタルケアを受けようが、治療は本人の意思次第です。

 社会生活に影響が出る程に、深刻な症状になっていれば、他人の手助けを求める事も視野に入れた方が良いと思います。

 いわゆる、自分だけで抱え込まないというのが、大切です。


 自分の中だけで解決しようと思わない事。

 周囲の理解を得て、少しずつ改善をしていく事。

 治療は、長く辛い道のりが待っています。

 社会生活が困難だから、そのまま野垂れ死にしてはいけません。

 潔癖症の悩みを抱えている片は、一歩ずつ乗り越えていきましょう。

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