『創と相談ごと』

 コーヒーカップを置いて一息つくと、カウンターしにじゅんが話しかけてきた。

ぎの様子はいかがですか」

「……順調、です」

 神社のあとりとしてぐ仕事を覚えているのを、じゅんは気にかけてくれる。はんこうも、森宮家とくすのきの両親がおたがいの子供から、それとなく相談に乗ったりして、うまくきよ感を取ってくれていたらしい。

 伝え忘れていたことがあったらしく、じゅんが少し考えてからそうに話しかける。

「――ああ、そうでした。結さんが『この間のさつえいの時の写真を見たい』とおっしゃってまして。そうさんにはおずかしいかと、少し返事を待ってもらっているんですよ」

「ああ……」

 確かに、と明後日の方向を見てなやむ。したってくれたり、こうしたしようを着ることを喜んでくれるのは、どうもむずむずする。それでも、『つうの家』ではなくなった今なら、少しくらいなら他人とズレたことをしてもいい。

 そう思えるゆうが、そうにも出来た。節分の行事で『おにけつこんしき』をやるのも、最初はずかしかったのが、今では家族を思いながらするように。

「――良いですよ」

「かしこまりました」

 まだ少し照れくさそうなそうに、じゅんがくすくすと笑う。

「そのうち、結さんもしようを作りそうですね」

「う。それは、困る」

 耳を真っ赤にしたのをすように、少しぬるくなったコーヒーを飲み干した。

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