「……これまた、大（おお）袈（げ）裟（さ）だね」

　和の衣（い）装（しよう）にしては、飾（かざ）りも多い。それどころか、パワードスーツのような出（い）で立（た）ち。呆（あき）れも混じった苦笑いを創（そう）は浮（う）かべた。

「でしょー！これがあれであれがこれで」

「……なんか、すみません」

　話しぶりから、陽（よう）介（すけ）がやりたい放題したようだが、その中に文様もふんだんに織（お）り込（こ）まれていて、創（そう）の目を引いた。

「市松模様とか、よく、組み合わせたね」

　左手の扇（せん）子（す）で指し示す、創（そう）が気に入ったものがあるときの仕草。それを見て、デザインをまとめた美月が小さくガッツポーズをした。

　ひとつひとつ、あしらわれた模様を確かめていく様子に、陽（よう）介（すけ）も満足そうだ。創（そう）が自ら衣（い）装（しよう）に近づくのも、彼（かれ）が気に入っている証（しよう）拠（こ）だ。

「……うん。最初はびっくりしたけど。すごく、見入って、しまうね」

　各（おの）々（おの）が自分の世界に浸（ひた）る中、和（わ）洋（よう）折（せつ）衷（ちゆう）のドレスにも目を向ける創（そう）。『頼（たの）むからそのノリで絡（から）まないでくれ』と、口には出さず目を背（そむ）ける京子だった。

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