あいたたた
ブレスレットが一際激しく光を放ち、二人が光に包まれる。
目の前に掲げていた左腕を横に払うと、着ていた服が虹色の光となって消えていく。
ここで一糸まとわぬ姿となるが、残念ながらその素肌は見えず、柔らかな曲線だけがわかる状態だ。
美命のその全身が炎に包まれる。
足の先から髪までが赤々と燃え上がり、まるで火の化身のようになる。
炎の腕を大きく円を描くように頭上に翳し、パン、と一つ拍手を打つ。
すると左手の甲への部分に大振りの透明な
そのまま腕を顔の前へとクロスしながら下ろし横へと腕を広げると、上半身を赤いノースリーブのシャツが覆い、踵同士をぶつけるとゴムの部分も真っ赤な厚底ブーツが現れた。
そのブーツの踝の部分には宝石がついていてヒールは高く、それでもバランスを崩すことなく腕を振るようにしてくるくると回転すると、腰からふくらはぎまでのスカートがぶわっと勢いよく拡がっていく。
ぎゅっと目を瞑り、次いで開く時には目尻に紅が引かれた金色の瞳がキラリと光り、笑みを浮かべた唇にも艶やかな紅が引かれる。
燃え上がる髪に両手を差し込み、天へ向かって毛先までを梳くように滑らせると炎の色そのままに長く艶やかな髪へと変わっていき、その髪は高い位置で一つに結ばれ、結び目には小さな花と
そして美命が両手の指をパチパチパチリと鳴らすとその指から炎が飛び出し、頭の方へと飛んでいく。
その炎が一つ頭の天辺から左にずれた位置に到達するとぼわっと一瞬大きくなり、次いで小さなシルクハットへと変わり、二つはポニーテールの結び目近くへと飛び、二つの簪へと変わる。
その一つは小さなランタンが吊るされたものとなり、もう一つはシンプルなものとなった。
そうして残った炎を吹き飛ばすように右腕を大きく横に払えば、ふわりと赤の打掛が舞い踊り、黒地に紅で彼岸花の刺繍の施されたコルセットを締めた姿となり、その右腕を腰に当てると身についている宝石に虹色の炎が灯る。
「均衡を守護する紅き光、≪ソルシエールルージュ≫」
光とほぼ同化した燕の頭上からは、はらはらと天使の羽根が幾つも降ってくる。
その羽根の一枚を両手で受け止め胸の前で抱き締めると、手の甲が一際輝き、ポンッと透明な
羽根の舞い散る中前へ一歩踏み出せば、そこには白いヒールの低い靴がコツリと音を立てた。
足首までを紐で結び、足首部分を押さえるストラップは小さなハートの金具で留められていて、甲には大きな
もう一歩コツリと進めば両足が靴で覆われ、踵のすぐ傍で小さな羽根がピコンと生え、にっこり微笑んだ燕がくるくると軽快に回転すれば、ふんわりとしたミニスカートが広がり、絹の靴下が素足を覆った。
次に、腕を下から体の前でクロスさせて勢いよく天へ向かって拡げると、上半身にはフリルとレースたっぷりのブラウス、そしてもこもこしたボレロがたなびく。
ボレロにはフードがついていて、更には長い耳がついていた。
前髪をちょいちょいと弄り整えて指でさっと梳けば、真っ白なふわふわの肩までの髪へと変わる。
その後頭部へ羽根が一枚ひらりと舞い落ちると、また光がポンッと弾けて美命と色違いの紐でハーフアップへと纏められた。
そして、羽根が幾つも天使の輪のように円を描きながら頭上でくるくると踊り、その輪が小さくなりながら燕の頭へと降りてくる。
それが頭の天辺に触れた瞬間、羽根は光を弾けさせて小さなティアラへと変わった。
むむむ、と表情を少し歪めつつ身体を丸め、勢いよく開けば残っていた光がぱぁっと弾け、金色の瞳を瞬かせて乱れた髪を軽く手で整えるとスカートを摘み、ちょこりとお辞儀をすると宝石それぞれに虹色の炎が灯る。
「地上を浄化する白き光、≪ソルシエールブランシュ≫」
赤と白の二人が並び、にっこりと微笑んだ。
「「HELL or HEAVEN?」」
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