彼の魔力と機械少女
彼は右手から白く輝く歯車を取り出した。
「え、それってさあ、さっきあなたがなおしたものじゃない‼そ、それってど、どうするの?」
「黙って見てて」
そう言って彼は、横たわっている少女の腹部を無理矢理こじ開けた。
「きゃ!な、何これ」
「これは、
「で、でもさあ、あなたよくそんなことわかるわね」
彼はうつむいた。
(これは絶対に言えない。それが、ウィル、お前だとしても。)
「まあいいわ。誰にでも言いたくないことってあるわ。まあそのうち教えてちょうだい。ほら、続けなさいよ」
(そ、そうだった。今はこの娘を救うことを考えなければ。)
そして彼は、歯車をコアパーツにセットし、魔力を込めた。彼の魔力は、
「我はサンダエル。曇天よ我が呼び掛けに応え、我に力をかせ。
エリックがそう言うと、少女の体を眩しい光が突き抜けた。
「す、すごい」
そしてしばらくすると、少女が目を覚ました。
「こ、ここは?」
さすがに驚くのは仕方ない。誰だってそうだろう。目を覚ましたらそこは自分の全く知らない場所なのだから。
「ここは、ファシシュって言う街にある俺の家だ」
「そ、そうですか。あの、えっと、た、助けて頂きありがとうございます。その、私、ガーネットと言います」
「そ、そうなんだ」
(さてと。どうすっかなあ。この娘を助けたのはいいけど、この娘どうせいく宛もないだろうし......)
彼がこの先について考えていると、ウィルの声に遮られた。
「ねえあなた。いったいあなたは何者なのかしら」
ガーネットは少し迷ったあと、語った。
「私は
「その特別な力って何なんだ?」
「それは......。わ、私にも分かりません。で、ですが、それが何者かに狙われ、奪われてしまったことぐらいはわかります」
「そうか」
(何者か、ねえ。確かウィルがガーネットを見つけたときは、棺桶に入れられて俺の家の前に置いてあったんだよな。でもどうしてだ。わざわざ人の家の前に置く必要なんてないだろ。もしかして何か意図があるのか。わからないことだらけだな。まあいいさ。いずれもこの娘のコアが奪われたという事実は変わらない。それが俺の求めているものの可能性もあるしな。)
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