エンターム〜with three world〜

Solid World

第1話 始まりの日

ピピピピ…ピピピピ…


部屋中にその大きな音は鳴り響く。


ピピピピ…ピピピピ…


あれ、こんなに大きな音に設定して昨夜は眠りについたっけか。


ピピピピ…ピピピピ…


「ああ、うるせえええ!!!」


内心で怒鳴りながらも、それを声には出さず、その代わりに目覚まし時計を叩く威力で怒りを表した。目覚まし時計が指す時刻は午前6:00分。昨夜眠りについたのは午前0時過ぎ、単純に考えて6時間睡眠…寝起きはスッキリするものの、この睡眠時間では授業で眠ってしまいそうになる。それならばもっと早く寝ろという話だが、そういう訳にもいかない。昨夜は消化が追いついていない今期アニメ(中盤)の消化を一気にしたのだ。と言っても、俺にとっての一気見というのは4〜5本程度である。それを毎晩続けていると、課題やら明日の学校の用意やらを早めに済ませたところで、結局寝るのは日を回ってからというわけだ。


「っと…さっさと起きて飯食うか。」

今はこんなこと考えている場合じゃない。さっさと飯を食って、早めに学校に向かわなければならない。今は6月下旬に行われる体育祭に向けて、各学年各クラスともとても気合を入れて練習をしているのだ。比較的運動が好きな俺は、体育祭でも悔いなくベストな状態で挑めるように練習を少しでも多く行いたいのだ。とは言うものの、学校で練習が出来るのは7:30分からである。まだ1時間30分もの猶予があるのだ、そこまで焦らなくてもいいだろう。そして俺はゆっくりと自分の体を起こした、朝の日差しが眩しい。今日は雲ひとつない快晴だ。…でも暑い。


「おはよう〜」


階段を降りて、父と母に挨拶をする。二人とも笑顔でおはようと返してくれた。

うちは俺と姉と両親の4人家族だ。姉は今年の春から大学生になり、毎日キャンパスライフを満喫しいている。あ、勿論俺も高校生活満喫してるよ?

ただ、俺も姉も私立に通っているので学費がバカではない。その為、両親が共働きで頑張ってくれているのだ。本当に有難い話だそれに。今日は母の仕事が休みの日なので母が父の弁当を用意してくれている。母が仕事の日は俺が2人の弁当を用意することになっているのだが、休みの日は俺より早起きして弁当をちゃんと作ってくれている。


「朝ごはんは昨日買ったコンビニのパンがあるからそれ食べてね」

「はーいよ」

「わかった」


俺も父もしっかりとそれに応えた。ふむ、今日の朝飯はコンビニパンか。母が言った通り、テーブルの上にはコンビニパンが6個置いてあった。俺と父は2個ずつ食っていいよ、と言ってくれてるのだろうか。勝手な解釈をしつつ、とりあえず好物であるメロンパンから俺は手を伸ばした。うん、やっぱコンビニパンはこれだよな。ファ〇リーマートのメロンパンは中にクリームが入っていて非常に美味なのだ、いやマジで美味いよこれ。

そして5分も経たないうちに、俺は近くにあったチョココロネも食べて、今朝の朝食を終えた。

それから2階の自分の部屋に戻り、昨夜用意した学校の支度の最終確認をする。

授業の用意完璧、体育着も持ってる、ラノベは…よし、しっかり5冊入ってるな。ラノベをなんでそんなに持っていくのかって?今日は自習時間が多いんだ、ワークを解いてるだけでは飽きるだろ。それに放課後の部活は、ほぼ部室を一人で使っているようなものだから、読書をしない意味がわからない。

さて、出かけるとしますか…リビングの時計を確認した時、時刻は丁度午前7:00を指していた。


「行ってきまーす!」


父の出勤とほぼ同タイミングで俺も家を出た。姉は丁度そのタイミングぐらいで起きてきた、遅すぎる。なんで大学生にもなって俺より生活リズムがしっかりしていないのだ、将来大丈夫なんだろうか…?まあ人は人、自分は自分だ。人の心配をする程、俺は容量ないし。それから通勤ラッシュにはまだなってないであろう、混み合った電車に乗り込み、俺は高校へと向かった。


以上、これが朝の俺の日常風景だ。今日も何も変わらない、いつも通りの朝、いつも通りの通学路、いつも通りの景色。


しかし、そんなものは全て掻き消されて、俺はある男から世界の真実を知らされることになるのである。そう、この世界の成り立ち、そして3つの世界の秘密を…






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