第16話

 コウノトリは自分が愛した女の子どもを運ぶため、休むことなく飛び続けた。日差しが厳しい日は自身の体で影を作り、雨の日は傘となって幼子を守った。幾日も旅する彼の姿を、どれだけの船乗りが目撃したことだろう。そして、どれだけ多くの人に語って聞かせたことだろう。

 これが、赤子はコウノトリに運ばれてやってくる、という伝承の所以である。

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人魚姫と呼ばれたその日から 音水薫 @k-otomiju

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