第38話:可哀想

 なんだか、年号が変わってからというもの…本当にいろんな事が起こりますね。

 私自身直接的になにか変化があったわけではないのですが、SNSには今まで以上に色んな情報が飛び交う様になった気がします。


 私は、物流関係の仕事をしていたので、自粛期間中も品川駅を利用していました。

 朝、港南口の長い通路を出勤する方々が歩いている訳なのですが、建物の出口付近で綺麗に左右に分かれるんです。

 最初、『どうしたんだろう?』と疑問に思いましたが、出口で待ち構えているマスコミのカメラ達が視界に入って納得しました。

 全員と言っても過言じゃないくらいマスク等の対策はしていたとはいえ、外出自粛中に出勤する我々の映像を使ってどんな報道をされるのか分かったもんじゃありません。

 配慮してか、足元だけを映そうとカメラの位置が低い媒体もありましたが、私が見かけたほとんどの媒体は高さのある三脚等を使用して撮影をしていました。


 正直に言うと、とても腹立たしいです。

 品川に遊びに来ているわけではありません。

 まぁ、中にはそういう方もいらっしゃったかもしれません。

 でも、『仕事しに来てるんだからそっとしておいてほしいし』と正直思いましたね。


 イライラしながら職場に向かう途中、ふと思いました。

 品川駅で『欲しい絵』を撮るために恐らく何時間も居続けているであろう人達は、上司の指示に従っているだけなんだ…と。

 彼らもただ、私達と同じように仕事をしているだけなんですよね。

 その仕事内容は、あまり褒められるような内容ではありませんが…。

 私の感情をぶつける相手は、目視の出来ないもっと上の存在なのでしょう。

 そしたら…なんだかちょっと可哀想にすら思えてきました。


 そして、捏造報道が多発しているみたいなのでテレビ離れとやらも加速するのかもしれませんね。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る