本命チョコの作り方


  ――チョコの作り方を教えてよ?

 笑顔で、あいつはそんなことを言う。逆チョコをしたいらしい。あいつが好きな人は先輩だと、とっくに私は知っていた。あいつにとって私は、都合が良い友達でしかない。

(よりによって生チョコね)

 私が好きだと知っているクセに。

 でも、これで最後――。

 笑顔であいつの背中を押すことができたと思う。



「……なんで?」

 あいつが私にチョコを差し出す。

「先輩が好きだったんじゃ――」

「本命を前に、好きな人の名前言えるわけないじゃん? まぁ、ほぼ実那が作ったようなものだけど……って、なんで泣くの?」

 慌てるあいつを尻目に。ずっとガマンしていた感情が抑えられなくて。何より先に「バカ」って言葉が漏れた。



________________


Twitter創作企画

毎月300字小説企画

@mon300nov

第2回

テーマ「甘い」に参加。


カクヨム換算、299字でした!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る