何処かの誰か
涙でできたペンダント。そんなものの生成が可能だとしたら、錬金術師が興したココ「宝石の町」のみで。
液状を固固定して。感情の流出を防ぐ。彷徨った感情を掴まえて、そして合成を繰り返す。
――綺麗ですね。
その言葉に、錬金術師は頷いてみせる。それはそうでしょうと思うが、でも口には出さない。
吸い寄せられるように、手に取って。
あなたが美しいと思うものは、あなたが前世で憎んだもの。
あなたが醜いと思うものは、あなたが前世で愛したもの。
それならせめて、あなたが流した前世の涙を、お守りとして渡しましょう。核と外套膜を差し込んで。真珠が育つのを待つように。
嘆いてくれた方が、より美しく真珠は育つから。
ところで。
異世界の旅人さん?
あ、別に答えなくても良いの。声が聞こえていないのは、よく分かっているから。
でもね、言わせて。
等価交換なんて本当に信じていたの?
商いの基本は安く買いつけ、高く売る。
チートという言葉たけで、面白いくらい、よく釣れるから――笑いが止まらない。
─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─
診断メーカーよりお題をお借りしました。
月の明かりだけが頼りの深夜、宝石を作る街で涙で出来たペンダントをお守りにするといいと言われました。それがきっと導いてくれる、と。
#何処かの誰かの物語 #shindanmaker
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