イチマイウワテ
偶然って重なるもので。いつもほんのちょっとした瞬間にあの子と時間が重なる。傘を忘れた日も。委員会決めでも、偶然一緒に手が上がって。気付けば、挨拶をするのが当たり前になっていた。気がつけば、行き帰りも一緒になった。気がつけば――常に一緒にいるのが当たり前になっていた。
いつも、彼女が距離を埋めてくれていた気がする。
でも――と思う。ずっとそんなんじゃダメだ。
だから、僕から告白することにしたんだ。
「やっと付き合ったんだって? おめでとう」
「うん、もう幸せ~」
「ニヤニヤすんな。当てつけか。でもさ自制しなよ? 傘を忘れたのだって――」
「明日は晴れるね、って言ったの私だしね」
「委員会だって――」
「彼が入りたい委員会はリサーチ済みだったし」
「距離を埋めたと言うより――」
「他の子への牽制はもう完了済みだもんね」
「あんたが恐ろしいよ私は。化けの皮剥げたら、彼はどう思うかな」
「どうも思わないんじゃないかな?」
「なに、その自信?」
「だって、恋する女の子は常に一枚上手じゃないとね」
「アラサーが女の子とか言うな」
【注】
※委員会があると言っても、学生とは言ってない。(作者R)
※やっぱりリードされて、美味しく召し上がられたとか。(友人A嬢)
※女性の尻に敷かれた方が何かと上手くいく(B部長)
※スピートとスカートと決断は短いほうが良い(C社長。結婚披露宴で社長のスピーチは長かったとは、D課長談)
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