夜の眷属を辞める / 無防備(140字小説)

【夜の眷属を辞める】

コーヒーを啜りながら、ただその瞬間を待つ。ブランケットでは暖が取れない。このまま眠ってくれたら良い。時が過ぎる。カチカチ時計が針を進める。朝ぼらけ、陽光はまだ弱い。陽よ登るな、早く登れ。そんな感情が相克する。光の雨が僕に注ぐ。

「さような――」

皮膚が砂のように崩れて、声は届かない。





【無防備】

コクン。首がカクンと項垂れた。

「翼?」

疲れて眠ってしまったらしい。バスケの試合後にわざわざ来なくても。ブランケットを掛けてあげると、翼がバランスを崩す。

「ちょっと?」

地面に激突するんじゃ、と慌てて支えると、まるで求めるように背中に腕を回された。

「へ?」

寝息はそのままに。




________________


R3.10.30参加

#深夜の真剣140字60分一本勝負

(ツイッター上のワンライ企画です)


※【無防備】は「君がいるから呼吸ができる」

下川空 × 天音翼 でした。

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