君の道へ
「意外にたいしたことないね」
人の気も知らないで、珠はクスクス笑う。童の時の記憶を反芻しているのか。あの時から見れば、小さく見えるだろう。迷い、辿り着いたこの道は狭い。
見よう見真似で、俺を真似ようとしたあの時が、はるか昔のようで。
珠からして見れば、ほんの刹那の時でしかない。そして俺は間もなく朽ち果てる。それで良いと思っている。
この道の向こう側――珠がいるべき世界が待っている。
「パパ」
あぁ、変幻が溶けたか。それで良い。龍の子を拾ったのが二十年前。珠にとっては数刻。しかし俺にとってはかけがえのない時間だった。
彼女の顎が俺に喰らいつく。
「パパ、一緒に行こう」
翼が羽ばたいた。道は続く――。
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第74回Twitter300字SS
お題「道/路」でした。
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