火焔の少女


 研究サンプルとして生まれた私の能力は発火能力パイロキネシスだった。当時の私は、力の制御ができず感情的になると、すぐに炎が燃え上がった。


 だから決めたのだ、怒らない、泣かない、喜ばないと。

 だって私が、貴方を焼いてしまったのだから。


「まだ、そんなことを思ってるの?」


 彼は変わらない顔で、微笑む。暖かい炎に薪を加えながら、火を囲むみんなの顔が笑顔で。


 どうして、そんな顔をするの? 私が貴方を焼いたのに。


「そんなの、ひなたが大切だからに決まってるじゃん」


 恥ずかしげもなく言う。

 でも――私をライター代わりにしていい理由にならない。


「怒るなって、ごめん」


 ゆ・る・さ・な・い!

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