2-5 蘇生

 ――気づいた時は私は森の中にいた。青い空は雲ひとつ無い綺麗な空だった。

 目が覚めた時は何十年もの間寝てたのではないかと思うぐらい寝てたような気がした。

 そんな長い眠りから覚めた私は、お腹がすいていた。餌を探しに行こうと立ち上がった時、とてつもない違和感を感じた。

 自分の感覚では4本の足で歩いていたような、そんな気がしたが今の自分は2本の足で立っていた。

 前足を見ると自分の前足だとわかっているのに自分のものとは思えないそんなふうに感じた。


――あれ、私って元々こんな姿だっけ…


 自分の身体なのに自分のものには思えない。まるで別の誰かの身体の中に居るかのような。


――喉が渇いた、お腹も空いた、なにか狩らないと…


 自分に違和感を感じたが、自身の本能なのか何の支障もなく移動することは出来た。


 餌と水を探しさまよっていると近くで水の音がした。そっちの方へ向かうと川を見つけた


――これで喉が渇くのはどうにか出来た。だけど肝心の餌になる小動物が居ない


 空腹をどうにかしないとこのまま野垂れ死にしてしまう。焦る気持ちとは裏腹に全く自分以外の音が聞こえない。自分の心臓の音の方がうるさいと感じてしまうほど


――あぁあ…せっかく起きたのに、このまま死ぬのだろうか


 そう感じた矢先、後ろの方で何かが草むらで動く音が聞こえた。万事休すかと思ってたその直後にやっと来たチャンス。これを逃すまいとその音の正体がなんなのかも確認せずに飛び込んでしまった。飛び込んだ先、音のした場所にはだれもいなかった


 だが飛び込んだ後で気づく。飛び込んだのは鋭い枝が剥き出しの低木だった。

 しかも自分の体は自分が思っていた何倍も大きかった。

 飛び込んだ拍子に枝が自分の体にくい込む。


――うっ…うがっ…!


 身体中に激痛が走り思わず呻き声をあげる。

 早くここから脱出しなければ。そう思い脱出を試みるが、動けば動くほど枝は深き刺さり肌を切り裂く。


――痛い、痛い、痛い、痛い


 動くと枝は深く刺さり動かなければその激痛は収まらない。空腹と痛みによって思考が鈍り…。



私は








死を覚悟した









その時だった

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