2-3 収集
「かばんが聞きたいのはこの島のことと私のことだね!じゃあ張り切って答えていくよ!」
ニホンオオカミはかばんの横にちょこんと座り、答え始める。
「まずはこの島のことからだね、この島は今は亡き動物が集いし島ロスアニ島、ってバリーから聞いたよ。今は亡きって言うのは絶滅した動物のことを言うんだってー」
ニホンオオカミは得意げな顔でそう言った。
「ロスアニ島…絶滅した動物が集まる島…ということはここにいるフレンズさんは全員…?」
「多分絶滅した動物がフレンズになったんじゃないかなー」
「そうなんですか…」
「あっ!ということは私も…あぁ、1人は寂しい、およよよょ…」
そう言って泣き真似をするニホンオオカミ。が、かばんをちらっと横目で見たあと「なんちゃって!」と言いながら大笑いした
「とは言っても私もこの姿になる前のことは全然覚えてないから、自分が絶滅したってこととかわからないんだよねぇ。バリーはものすごく気にしてるみたいだったけど、私はそこまで気にしてないかなー。今はたくさんの友達ができたしね。それに…」
ニホンオオカミはかばんの手を握り
「新しいパートナーもできそうだし!!ね、かばん!」
と、かばんの腕ごとブンブン振った。
「僕がニホンオオカミさんのパートナー?」
「うんうん!かばんほど私とお話してくれた子今まで居なかったもん!きっとかばんと一緒なら毎日が楽しいって思えそうなんだ!」
「で、でも僕は『ヒト』のフレンズなんです、それにきっとニホンオオカミさんに迷惑を掛けてしまうかも知れませんし…」
「なにいってるのかばん!そんなヒトとか何のフレンズかなんて関係ないよ!私がかばんが好きだからパートナーになりたいって思ったんだもん!それにかばんを見てるとなんだか昔にもこんなパートナーが居たような、そんなふうに思えるんだ」
そう言うニホンオオカミはさっきの笑顔とは違う、とても真面目な顔でかばんを見つめていた。
「ありがとうございますニホンオオカミさん、でも僕は霧が晴れてまた船が出せるようになったらこの島を出て、自分の仲間を探しに行かなきゃならないんです。だから…」
「………うん。そう、だよね…元々かばんは旅の途中でここに来たんだもんね…ううん、私が言ったことは忘れて!そうそう質問にまだ全部答えてないよね!それじゃあ次は何を答えようかな!かばんなにか質問まだある?」
「それじゃあ、ニホンオオカミさん。霧が晴れるまでの間ニホンオオカミさんのパートナーになってもいいですか?」
「えっ…」
耳も尻尾も垂らして落ち込んでいるニホンオオカミにかばんはそう聞いた。
1人ぼっちは寂しくて怖いことだっていうことは、かばんもよく知っていることだったから。
自分がサーバルちゃんにしてもらったことを、短い間だけでもしてあげたい
そう思ったのだ。
「かばん…。ってなになにこの空気!なんでかばんの質問答えてただけなのに!誰だこんな雰囲気にしたのは!私だぁ!」
照れ隠しなのかニホンオオカミは誤魔化すように早口に話す。
「もう…!さっきのかわいいとか今のこれとか、もしやかばんはからかい好きか!?私をからかって楽しんでるんだな!」
「い、いえ!そんなこと思ってないですよぉー!」
「ふふふ…あはははは!」
ニホンオオカミが笑い出す。それにつられてかばんも笑う。
2人の笑い声は、この広い部屋に響き渡った。
最後に笑ったのはいつだろう
もういつの事かなんて忘れてしまった
まだあの子が居たら、今も私は笑っていたのかな
「……。」
私がからかうと、あの子はとても面白い顔をする
私はそれが堪らなく面白くて、堪らなく好きだった
私が笑うとあの子も笑う
そんな楽しい日々がずっと続くと思ってたのに
今も私はひとりぼっち
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます