第一話 新たな世界
1-1 はじめまして
「とうちゃーく!!」
「なのだー!!」
島に到着すると、サーバルとアライグマは島へと飛び降りた。かばんとフェネックもその後に続く。霧はまだ晴れそうには無かった。
「とりあえずは霧が晴れるまではここで留まってましょう、お腹もすいてきた頃ですしジャパリまんでも食べましょうか」
かばんがそう言うと、賛成ー! と3人は言った。船から人数分ジャパリまんをとってきて、近くにあった木の下で食べた。
「この木、初めてみる木ですね、なんて言う木なんだろう」
『コレハ「イチョウモドキ」ダネ。今ハ絶滅シテシマッタ植物ノ一種ダヨ。今モアル「イチョウ」ト仲間ダヨ』
ボスがいつも通り解説をする。かばんは『絶滅』という言葉が気になった。
「あの、ラッキーさん。『絶滅』って何ですか?」
『「絶滅」トハ、ソノ種類ノ生キ物ガ、コノ世界カラ、一匹モ居ナクナルコトヲ言ウヨ。カバンガ会ッタコトアル絶滅種トイエバ、トキ ガ絶滅種ダヨ。デモジャパリパークデハ、絶滅種シテシマッタ動物モ見ルコトガデキル奇跡ノ場所ナンダ』
「この世界から、いなくなる?それってとっても悲しいことなんじゃ…」
かばんはラッキービーストの話を聞いてかばんらは少しかなしい表情を浮かべた。
『カバン、ソンナニ落チ込マナイデ。ソノ種ガ別ノ種ニ進化シタコトデ絶滅シタッテコトモアル。ソレニ、アル種ガ絶滅シタコトニヨッテ新シイ種ガ生マレタトイウコトモアルンダ。全部ガ全部悲シイ事デハナインダヨ』
ラッキービーストが励ますようにかばんに言った。
「そう、なんですね…僕にはちょっとまだ難しかったかも…」
「ボスが何言ってるか全然わからなかったよ。でも、絶滅しちゃった子とも会えて仲良く出来るってやっぱりすごいね!」
サーバルは元気にそう言った。そのおかげか、かばんも表情が明るくなった。
「霧、全然晴れないのだー!!」
「そうだねぇー、かれこれ1時間ぐらいは経ってるんじゃないかなー」
全く晴れる様子がない天気に、一行は若干の手持ち無沙汰を感じていた。
「こういう暇な時は、アライさんが考えた『アライさんマーチ』を聴いたら、気分が上がるのになぁー」
「な、アライさんはそんな歌考えた覚えないのだー!!」
そんなふうにアライグマをフェネックがからかった直後、草むらからガサガサと音がした。
「今の音…もしかしてセルリアン…?」
「どうだろうねぇ…セルリアンの匂いはしないけど」
サーバルとフェネックが耳をすませ、様子をうかがう。
「もしもセルリアンだったら…気をつけてね」
「うん、かばんちゃんには爪1本も触れさせないよ!」
「そこにいるのは誰なのだーー!!!」
サーバルとフェネックが戦闘体制になってる中、アライグマが、草むらに飛びついた!
「えっ、ちょっとアライさん?」
フェネックが明らかにいつもと違う口調で驚いている
「隠れてないで、出てくるのだー!!」
「うわぁーー!!ごめんなさいごめんなさい!盗み聞きするつもりじゃ無かったんですー!!」
「フ、フレンズさん!?」
アライグマから逃げるように出てきたのは、島で出会ったコツメカワウソのような見た目のオレンジ色の毛皮を着たフレンズだった。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいー!!」
「い、一旦落ち着いて…!怒ってないですから!大丈夫ですからー!」
「ほんと?私のこと食べたりしない?」
「ほかのフレンズを食べる趣味は少なくとも私たちはないよー」
「はぁ…よかった…」
そのフレンズは緊張の糸が切れたかのように膝から崩れ落ちた。
「えっと、あなたはなんのフレンズさんですか?」
「わ、私はニホンカワウソ…よろしくお願いします…」
そのフレンズはニホンカワウソと名乗った。
「はじめまして、僕はかばんっていいます。でこっちが」
「サーバルキャットのサーバルだよー!よろしくね」
「アライグマのアライさんなのだ!」
「フェネックだよーよろしくー」
各々がそれぞれいつも通りの自己紹介をした。
「かばんさん、サーバルさん、アライサンさん、フェネックさん…初めて聞く名前です…」
「アライさんはアライさんさんじゃないのだー!アライさんでいいのだ!」
「はわわわ…ごめんなさい…」
「わかればいいのだ!わかれば」
アライグマの勢いにタジタジなニホンカワウソだが、徐々に調子を取り戻しているようだった。
そんな中ラッキービーストがいつもの電子音を発した。
『「ニホンカワウソ」ハ「カワウソ」ノ一種ダヨ。「ユーラシアカワウソ」ノ亜種ト言ワレテイルヨ。今ハ絶滅種トシテ登録サレテイルヨ』
「何ですかそれ!?喋るんですか!?」
「これはボスって言うんだ!私たちの大事な仲間だよ!」
「へぇー!珍しいものもあるものですね!」
ニホンカワウソはすっかり四人に馴染んだようだ。
「改めて、ニホンカワウソです。皆さん初めて見る方ですね、もしかしてここに来るのは初めてですか?」
「えっと、はい。僕達は船で海を渡っていたんですけど、霧が濃くなって来てしまったので、この島で少し休憩していこうと思いまして」
「へー海を渡ってるフレンズなんて初めて見たよ、私も少しは泳げるけど、海はしょっぱいのが苦手なんだ」
そう言うとニホンカワウソは困った顔を見せた。
「でも当分この霧は晴れないと思う…少なくとも明日までは晴れないんじゃないかな…」
「えー!?それじゃあアライさん達はどうすればいいのだー!?」
あからさまに不満を言うアライグマ。
ニホンカワウソは「晴れるまではここでゆっくりすればいいよ」とアライグマを宥めた。
「お客さんなんて滅多にこないから、バリーさんたちに知らせたらきっと歓迎してくれるよ!」
「バリーさん達ってその方達もフレンズさんですか?」
初めて聞く名前にかばんはニホンカワウソに問いかけた。
「この島の頭領みたいな方だよ。バーバリライオンのバリーさんとケープライオンのケラーさん」
「フェネックーとうりょうってなんなのだ?」
「私たちの居た島でいう博士たちみたいな感じかなぁー」
「つまりそのバリーっていうのがここの長ってことだね!」
サーバルが元気よく尋ねる。
「うん、そんな感じ。だからみんなを紹介してもいいかな?」
もちろん!と4人はそう言った。
「よかったーきっとあの御二方とも喜んでもらえるよ」
「霧が晴れるまでのあいだ、お世話になれるならこちらとしてもありがたい限りだよー」
「とりあえず紹介するために、みんなの名前を確認してもいいかな」
ニホンカワウソはみんなの目を合わせながら確認し始める。
「黄色いあなたがサーバルキャットのサーバルさん、ピンク色のあなたがフェネックのフェネックさん、グレーのあなたがアライグマのアライさん、であなたが…」
かばんはを見たニホンカワウソが困った顔をした。
かばんは自分の名前は自分のフレンズの名前ではなく身につけているものだと思い出した。
「ニホンカワウソさん、僕は前にいた博士さんから『ヒト』のフレンズって聞きました」
「『ヒト』のフレンズ?あなたヒトなの?」
かばんがヒトのフレンズと言った瞬間、ニホンカワウソの笑顔が消えた。
「えっと…ニホンカワウソさん…?」
「ううん、大丈夫。あなたはヒトのかばんさんですね。」
明らかに様子がおかしいニホンカワウソにサーバルは少し不安になった。
「カワウソ、大丈夫?どこか具合の悪いところでもある?」
「平気だよサーバルさん。バリーさん達がいるのが島の中心ぐらいなので、行きましょうか」
「こっちですよ」と言いながらニホンカワウソはかばんたちを案内する。
かばんは、ニホンカワウソが自分に疑念の目を向けられたかのような感じがし、少し不安を覚えた。
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