絶滅のバイアス

七尾狐

プロローグ

プロローグ 旅の途中

――それは、かばんたちが力を合わせて黒セルリアンを撃退してから1ヶ月が経ち、バスだった船で大海原を横断している時のこと…

霧が濃い水上で、かばん、サーバル、フェネック、アライグマは交代でバスを動かすためペダルを漕いでいた。今はフェネックとかばんがそのペダルを漕いでいる。


「うみゃ…全然遠くが見えないよー。ボス、どうにかならないー?」

『段々霧ガ濃くクナッテキタネ。コノ霧ノ中デノ走行ハ少シ危険カモシレナイヨ。近クニドコカ舟ヲ停メラレソウナ所ヲ検索スルヨ』


不満を言うサーバルに反応したかのように、ボスことかばんの腕に居るラッキービーストはピロピロと電子音をたてながら言った。


「はぁ、はぁ、、ラッキーさん、近くにごこくえりあ以外に島ってあるんですか?」

『ボクハ、ココラヘンノ地形ハ管轄外ダカラ探シテ見ナイト…』


忙しなく鳴る電子音の中ラッキービーストは『検索チュウ…検索チュウ…』と呟いている。


「そろそろ私も休みたいと思ってたし、島で霧が晴れるまで休めるなら好都合だよー」

「アライさんも、この霧の中セルリアンとかが出てきたら怖いのだ…だからボス!早く見つけるのだぁ!」


アライグマとフェネックも休むことには賛成のようだ。


『検索チュウ…検索チュウ……。アッタヨ、ココカラ少シ北東ノホウニ行クト、小サナ島ガアルミタイダヨ。』


シュルルゥ…と電子音が止まり、ラッキービーストは島を見つけたことを報告した。


「北東…そっちの方角に行けばいいんですね。わかりました」

「よーし!フェネック変わるのだ!アライさんがすぐに到着させて見せるのだ!」

「頼もしーねー、でもどっちが北東かわかるー?」

「えっと…とりあえずこっちなのだ!!」


アライグマは、慌てて指を指したが、『アライグマ、逆ダヨ』と、ラッキービーストに指摘された。


「ふぇ〜!?ア、アライさんは最初からわかっていたのだ!!」

「あれ、ラッキーさん、フレンズの方とはお話しないんじゃ…」

『ココノマ明後日ノ方ニ行ッタラ、カバンノ身ガ危ナイカラネ』

「「「(そんなのも、喋っていいことに入るんだ…)」」」



そして4人は、ラッキービーストに言われるまま、その小島へと向かう。

しかしそれは、思いもよらない冒険へとなることを、全員知るはずもなかった。

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