第11話 武器大量購入のための薩長同盟宣言

 ここでは武器、特に最新式の銃を大量に手に入れることが、幕末最大のミッションであることから、各藩の藩士たちがどのような動きをしたのかを注目しなければなりません。それと同時に世論を攘夷思想から開国思想に転換させていくこともこの時期には重要なことです。

 また、国内だけでなく外国との関係で長州及び薩摩の留学生たちが武器輸入をイギリス本国にどう働きかけたのか気になるところです。


年表を見ていきます。

 


元治元年11月18日(1864年12月16日) 第一次長州征伐。征長軍参謀西郷隆盛の妥協案に基づき、長州藩、戦わずして恭順

元治元年12月15日(1865年1月12日) 高杉晋作、下関で挙兵(功山寺挙兵)。長州藩の藩論が倒幕に統一される


元治2年/慶応元年(1865年1月27日 - 1866年2月14日)


慶応元年3月22日(1865年4月17日) 薩摩藩遣英使節団密出国

慶応元年4月7日(1865年5月1日) 禁門の変や社会不安などの災異のために慶応に改元

慶応元年5月 土佐勤王党、弾圧される

閏5月2日(1865年5月26日) 第二代英国公使ハリー・パークス着任

慶応元年8月24日(1865年10月13日) 幕府、フランスの協力を得て、レオンス・ヴェルニーの指導で横須賀製鉄所着工

慶応元年9月16日(1865年11月4日) パークスの主導で英仏蘭三ヶ国艦隊、兵庫沖に来航。条約勅許と兵庫の早期開港を求める(兵庫開港要求事件)

慶応元年10月1日(1865年11月18日) 将軍家茂辞表出すも許されず。

慶応元年10月5日(1865年11月22日) 朝廷、条約に対する勅許を出す。兵庫開港は認めず


慶応2年(1866年2月15日 - 1867年2月4日)

慶応2年1月21日(1866年3月7日) 京都で 坂本龍馬の仲介で西郷隆盛・小松帯刀と桂小五郎会談。薩長同盟成立

慶応2年1月30日(1866年3月16日) アーネスト・サトウ、ジャパン・タイムスに匿名で論文寄稿。将軍を主権者と見なさないとする内容だが、後に翻訳され『英国策論』と題され出版される

慶応2年3月1日(1866年4月15日)長州藩主毛利敬親父子に蟄居の幕命下るも無視[1]。

慶応2年4月7日(1866年5月21日) 海外行き許可の認証に関する布告。商用・留学目的の海外渡航が解禁される

慶応2年5月2日(1866年6月14日) 国産初の蒸気軍艦千代田形就役

慶応2年5月13日(1866年6月25日) 幕府、英米仏蘭に迫られ改税約書(江戸条約)に調印。輸入関税の引き下げにより、以降輸入が急増


 薩摩藩におけるイギリス国への政治工作として3月22日に薩摩藩遣英使節団密出国しており、イギリスにおいては「イギリス外相のラッセル伯に雄藩連合政権樹立の構想を説き、その対日外交に影響を与えたといわれる。ロンドンでは当時はまだ仇敵同士であった長州藩の長州五傑と遭遇している。」とあります。

 この時点で、薩摩が倒幕の意思があることをイギリスに伝え協力を願い出たものと思われます。

 二ヶ月後の5月2日(1865年5月26日) 第二代英国公使ハリー・パークス着任。とありますから、イギリスは薩摩の倒幕の後押しをするために新しく英国公使を代えてきたものと思われます。アーネスト・サトウのジャパンタイムズの論文にもあるようにイギリスは日本の政治統治権が朝廷にあることに気づき、京都に一番近い港である神戸港の開港を慶応元年9月16日(兵庫開港要求事件)迫ってきています。

 勝海舟はこのことを先に恐れて海軍の操練局開設場所を神戸にしたものと思われます。


また、

「慶応元年10月7日(11月24日)、幕府は孝明天皇が条約の批准に同意したと、四カ国に対して回答した。開港日は当初の通り慶応3年12月7日(1868年1月1日)であり、前倒しされることはなかったが、天皇の同意を得たことは四カ国の外交上の勝利と思われた。また、同時に関税率の改定も行われ、幕府が下関戦争の賠償金300万ドルを支払うことも確認された。」

とあります。

 神戸開港を阻止するために、朝廷は将軍家茂辞表出すも許さず、兵庫開港は認めませんでした。


 京都に最も近い神戸港に4カ国連合艦隊が停泊しているという、極めて危険な状態になってしまったと言えると思います。


 武器の輸入については、幕府が慶応2年5月13日江戸条約で関税を下げていますからこの時点から銃の大量購入が始まったと言えると思います。



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