　僕は眼の前のシスカを見て憎しみが込み上げてきた。彼女は僕の方へ歩いて来る。

『…許して頂けないですよね。こんな女…』

　この身勝手な女の為に、僕は殺され、もう二度と元の世界に戻れなくなり、この世界の人々は一人残らず消滅する。シスカと僕を除いて。

『竜人様』

　僕を抱きしめるシスカ。

『好き』

　シスカの口角から血が垂れる。彼女は、腹部を刺す僕の剣を見てにっこりと笑う。

『愛しています』

　眼を閉じるシスカ。彼女の白いローブが徐々に赤く染まっていく。剣の刃からはシスカの血がポタポタと落ちる。シスカの顔を見る。徐々に自分がとても恐ろしい事をした実感が沸いてくる。この世界にはもう僕一人だけしかいないんだ。これからどうすればいいのだろうか。

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