灯.02(終)

須藤は僕が外出した隙を見計らい、遂に部屋から逃げ出した。

人質として一緒に連れてきて別室に縛り付けていたアイツの男の声が聞こえなくなっていたので、男の死を悟ったのだろう。


しかし僕も甘くはない。部屋に仕掛けた見守りカメラで、コンビニに出かける際にも常にスマホで部屋を監視している。僕の足音が部屋から遠ざるのを玄関ドアに耳を当て確認している彼女を僕は確認していた。

しばらくして玄関から飛び出してきたので、そのまま取り押さえて再び部屋に放り込んだ。


彼女は震えながら謝罪を繰り返した。が、僕はもう信じない。

愛してるから許して。お願い。

残念だけど。僕達もうおしまいだね。



しばらくして、僕は須藤の元バイト先に足を運んだ。

いた。前に僕を笑った、あの子だ。

「あ。チョウチンアンコウさん。ウケる。」


口は悪いが顔は可愛いじゃないか。

そうだ、次は彼女に愛を貰おう。

愛を知ってしまった今の僕には愛が足りない。


須藤の時と同じように、バイト終わりを待ち伏せて後ろから頭に包丁の柄で一撃。うずくまった彼女の首に包丁を突き付ければ、言わずとも黙る。

手錠をはめて車に押し込む。



僕に謝れ。愛してると言え。






それから、訪問販売員を2人。近所のガソリンスタンドの店員。愛し合った。

途中、異臭騒ぎになり大変な事になったが、もう大丈夫。

どうせ僕はもう疑われているんだろう。

ここまで逮捕されなかったことが奇跡だ。



僕は今、山中に停めた車の中でシートを倒して寝ている。

横には5人を1枚のブルーシートに包んでまとめたおおきな青い塊。僕はそれを抱き枕の様にして寝ている。

あぁ。この姿はまるで、メスのチョウチンアンコウに食い付いて子孫を残すチョウチンアンコウ。

はは、はははは。


あはははははははははははは!

それでもいいよ、僕は愛を見つけたから。

絶対に離さない、僕の愛。


みんな、僕を愛してくれて、ありがとう。ありがとう。

そろそろ、息が出来なくなりそう、だから、早く、寝る、よ。頭も、回らない。頭、痛い。

僕も愛してるよ。


ありがとう。

おやすみ。





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