第15話 『帰 還』その8
それは、とてつもなく大きな『太陽フレア』の大爆発でした。
ぼくたちは、その『フレア』の中に飲み込まれました。
真っ赤な光と炎と、目には見えない、紫外線やX線や、プラズマの波に、ぼくたち
は、身を焼かれたのです。
しかし、すでに肉体からは、解放されているぼくたちは、実際のところ、特に影
響をなにも、受けませんでした。
「すごい爆発でしたね。お二人は貴重な体験をなさいました。」
「ぼく、お母さんに、この間、ご本を読んでもらった。『銀河鉄道の夜』という本
だよ。川で溺れた友達といっしょに、幸せを探して汽車で宇宙を旅するんだ。そこ
で、さそりさんが燃えていたんだ。やっぱり、太陽に焼かれたんだろうか。」
男の子が、思い出したように言いました。
「ああ、そうだね。そのお話は、ぼくも小学生のころから知っていたんだ。いつも
涙がたくさん流れて、もう、止まらなくなる。でも、同じことなんかは、できない
とも、思っていたんだよ。」
「人は皆、社会の中で、大体、同じことを経験します。でも、こうした爆発を体験
できる方は、滅多にいませんよ。これは自然現象であって、人間には、いまだ、左
右出来ないことですから。しかし、永遠に左右できないのかどうかは、定かではあ
りませんけれどもね。」
「これは、つらい体験でしょうか?」
「つらかったですか?」
「ううん。びっくりしたけど、つらくはなかったかなあ。」
男の子が言いました。
「生きていたら、もう生きていなかっただろう。でも、もし宇宙科学者だった
ら、確かに、それでも、きっと飛び上がって喜んだだろうねぇ。」
「そうですね。あなたがたは、すでに、もっとつらい体験をなさいました。では、
もう、先に行きましょう。」
案内の方は、そう言いました。
「宇宙の始まりは「無から」でした。その前は、ありません。しかし、これは、神
様が存在するのかどうか、という問題とは、別の問題です。神様はあくまで地球の
人間の問題です。地球の人間や鬼が生まれる前から、宇宙はあったのですからね。
しかし、これは人の心の真実に触れる問題なので、このことを理由にして、お互い
が闘いをしてはならなのいです。鬼たちは、そう思っております。」
「難しいなあ。」
男の子が言いました。
「うん、とっても、難しいね。」
ぼくが、言いました。
宇宙に、突然何かが現れ、一瞬に膨張したように見えました。
あまりに早すぎて、認識はできなかったのですが。
『宇宙は、もうありました。』
宇宙は自然です。
でも、名前の付け方はいろいろあっても、おかしくはないのです。
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*このあたりは、まだ未完成です。随時変更するでしょう。(やましん)
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