久條 一
「じゃあ本題に入ろう」
久條 一に特別なスキル・能力はない。
伸長は低く、真っ直ぐな性格で、少し頭の回転が速い普通の子。
彼女にも、彼にも都合のいい存在だった。
「久條くんにお願いするのは、
「世界…?」
「そう、地下に入る前に時計塔が見えたでしょ?そこの最上階に住んでいる子たちのことなんだけど、なにせ情報が少なくてね…──そこで久條くんの出番!クロエと接触して、彼女たちのことを調べて欲しい」
「どうして、私なんですか?」
どうして。と聞かれても本当に都合が良かった。としか答えられない。
しかしそれでは彼女以外でもいいものと、ここから帰ろうとされるのは困る。
「…目があったんだよ」
「え?」
「探している時にね、目があったんだ。きみと。──この子だ!って直感したよ」
「そう、なんですか」
───なんてね。
まだ納得はしてないみたいだけど、受け入れようとはしてくれているみたいだから、今はこれで良いかな?
広いソファで、メイドが淹れてくれた紅茶をゆっくり飲みながら詳しい説明と何気ない談話をする。
綾芽くんは必要最低限しか話さないけど、それは僕が嫌われているから仕方がない。
久條くんは全てに納得していないながらも、意欲的には取り組んでくれるみたいだから、一先ずは様子見だろう。
説明して、案内して、彼女たちと合わせたら、僕の役目は一旦ここで終わり。
この研究所で、僕が研究員に口出しをしないこともルールの一つ。
必要なものがあれば揃えるし、空調も全部抜かりなく完備されている状態で、人を何を欲し、何を作り出すのか。
久條くんが何を考えて、
彼女たちにどんな影響を与えるのか。
これはそんな好奇心から生まれた物語。
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