光魔法習得!!いきなりの実戦

第43話

 そしてフォルティスの町へ帰って来た翌日、いつも通りに学校に向かう途中で。


「おはようございますですわ!ソフィア、待っていましたわ!」


 道の真ん中で大きな声で挨拶をしてくるゴスロリ服を着た人物がいた。風が上手い具合に薄ピンク色の髪とスカートをなびかせて、ポーズが決まっている。


 ていうかまぁ、カリーナなんだが。


「おはようございます。カリーナ、朝からどうしたんですか?」


 ソフィアは平然とカリーナに挨拶を返した。


 それにしても、ソフィアもよくこの状況で平然としてられるな。


 俺は周りを見てみる。


 学校近くの道なので、ゴスロリ服を着ているカリーナは生徒達の注目の的に・・・というより生徒とか関係無しに色んな人から注目を浴びてしまっているのだ。


 それに何かひそひそと話し声も聞こえてくるし。


「そんなの決まっているじゃありませんか。ソフィアに魔法を教えに来たんですわ!」


 まさか翌日の朝から来るとは思っていなかったな。

 ソフィアもこれから学校だから、断るだろうし。


「それならジャネット先生に相談して、学校で練習出来ないか聞いてみますね」

「宜しくお願いしますわ」

「にゃう(マジか)」


 この後、学校に赴きジャネットに聞いたところ、ジャネットの監視付きでの練習という条件付きで許可が降りてしまうのだった。



 ☆     ☆     ☆



「それで教えると言いましたが、どうやって教えればいいんですの?」


 俺達は学校にある端にある練習場にやってきていた。なぜ端にある練習場かというと、ここはあまり他の生徒とかが来ないという理由だ。


 ココナも隅っこの方で体力トレーニングで走り込みをしている。


「えっと、それでは魔法を見せてもらってもいいですか?」

「え、ええ!わかりましたわ!」


 ソフィアは魔法のイメージを構築するために、魔法を使ってもらうことにする。

 実際、ああだこうだと理論を並べるより、こっちの方が早かったりするので、ソフィアの判断は正しい。


「では・・・光よ、数多なる線となりて貫け!」

「へ?」

「フォトンレイ!!」


 カリーナの手先から幾つもの光の光線が放射状に放たれた。

 そして、練習場の壁に当たり、消えていく。


(・・・・・・・・今のは詠唱か?)


 俺も詠唱している人間を初めて見たので、固まってしまった。


 詠唱はしなくても魔法は発動するが、人によっては詠唱した方がイメージを強く持てるので、使う人は使っている。カリーナはその部類なのだろう。


「どうですか?これがわたくしの魔法なのですが」

「は、はい!良かったと思いますよ」

「本当ですか!」


 ソフィアはそう言いつつ、今の魔力制御を真似しようとする。

 俺もソフィアが魔力制御に集中できるように、光属性の魔力を抽出していく。


「・・・・・・フォトンレイ!!」


 ソフィアの手から光の光線が発射された。

 だが、初回ということもあったのか、数も光線の太さもカリーナには遠く及ばない。


 それでも、練習場の壁に当たったソフィアの光線の跡は、壁が焦げて残っている。


「あ、あなた・・・」


 ソフィアの魔法を見て、カリーナの顔が固まってしまう。


 流石に1度見ただけで、ここまで出来るとは思っていなかったのだろうか。


 カリーナはゆっくりと一歩一歩とソフィアに近付いてくる。


「ソフィア!!」

「きゃう!?」「にゃっ!?」


 カリーナはガバッとソフィアに抱き付いてきた。

 俺は咄嗟に地面に降り立ち、何が起こったのか確認をする。


「ちょっ、カリーナ!?」

「もう!最高ですわ!!流石わたくしのソフィア!!」

「だ、だからってお尻を揉まないで!!」


 カリーナはソフィアのスカートを捲り、更にはパンツの中にも手を突っ込んで、揉みしだいていた。


 俺は視線を外すと、ジャネットがカリーナの方を見ていることに気が付いた。

 その視線は警戒とかではなく、懐かしそうな目で見ていた。


(なんだ?ジャネットの奴、カリーナのことを知っているのか?)


 俺はジャネットの顔を見てそう感じざる終えなかった。


「もう!!照れた顔も可愛らしくて良いですわぁ!!!」

「リ、リアン!!助けてぇ!!」


 ソフィアの助けを求める声に俺は振り向いたが、すぐに他所を向いた。ジャネットのことを少し気にしている間に凄いことになっていたからだ。

 ソフィアのパンツが下げられお尻丸出しになっており、更には上着も乱され、胸も半分以上が見えていたのだ。


(この状態では俺には助けることは難しそうだ)


 カリーナの暴走はそのまま続き、徐々にエスカレートしていく。


「こっちはどうなってるのかしら?」

「い、いやあぁぁぁ!!」


 離れの練習場の中で、ソフィアの悲鳴が虚しく響くのだった。



 ☆     ☆     ☆



「ミールさん、お疲れ様」

「うぅ、ジャネット先生~・・・そう言うのでしたら助けてくださいよぉ」


 俺達はジャネットの個室に戻り、休憩することにした。


 ソフィアは部屋に到着するなり、椅子に座り、ぐったりとしてやつれている。


「ごめんなさいですわ。つい色々と抑えきれなくなってしまいました」


 やり過ぎてしまったと思っているのか、カリーナも謝ってきた。


「でも楽しかったね」

「ココナもなんで入って来たのぉ?」


 途中からは楽しそうという理由で、ココナもソフィアの身体を弄っていたのだ。


 俺は少女3人が淫らな格好になってきたところから、背を向けて瞑想していたので、よくわからない。


「それよりミールさんはどうしていきなり光属性の攻撃魔法を習得しようと思ったのかしら?」

「それはですね。実は・・・」


 ソフィアはカンポ村の近くの森付近でアンデッドが出ることをジャネットに報告する。

 そして、帰り道の陽が昇っている時間にもアンデッドに襲われたこと。

 その時にカリーナに偶然にも助けてくれたことを話す。


「確か報告に上がっていた案件ね」

「ジャネット先生は知っていたんですか?」

「ええ。でも、光属性の攻撃魔法を使える人が今遠くに出払ってて、後回しにされているのよ」


 やはり俺の予想通りの理由で放置されていたようだ。

 恐らく、今この辺りにいる光属性の攻撃魔法の使い手はディケイルぐらいだ。

 学校のトップが、そう度々ここを空けるわけにもいかないのだろう。


「それでミールさんが対応しようとしているのね」

「はい。カリーナは光属性の攻撃魔法を使えるようでしたので、教えてもらうように頼んだんです」


 俺はソフィアの今の実力ではまだ厳しいと考えている。

 俺も光属性の攻撃魔法は知らないから、今回はあまり手伝えそうにない。

 出来るのはせいぜい足止めぐらいの魔法制御ぐらいだ。


「カリーナ、他にも攻撃魔法はあるんですか?」

「ありますわ。でも、フォトンレイより難易度の高い魔法ですので、フォトンレイをもっと扱えるようにならないと難しいかと」


 確かにカリーナのフォトンレイはソフィアよりももっと数も威力も上だ。


「そうですよね。わかりました。ジャネット先生、この後も練習させて頂いてもいいですか?」

「もちろんよ。貴方達を強くするのが私の役目なんだから」


 ジャネットは快く承諾をしてくれる。


「それとユースフィアさんは後で渡したい物があるので、付いてきてもらってもいい?」

「うん、わかった!」


 この後もソフィアは練習場で魔法の練習に励むのだった。

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