第3話 Rebirth ? Reconstruction ?
「……完了、……システム、再構築。
――目が覚める。
さっきのは夢で。暖かい布団と日差しが、僕の目覚めを祝福する。
そう期待してみるが、目の前にあるのは、再びクラウチングスタートのような体勢をとっている化け物と、その前にある、誰かが死んだ後のような血だまりという非現実的な光景だった。
あの化け物になにか、攻撃されたことは確実なのだが、何をされたのかはわからない。そもそも、僕はさっき死んだはずではないか。何故こうして再び化け物と対峙しているのだろうか。
混乱し、上手く現状の整理ができない。
――とにかく、敵の攻撃を避けないことには何も始まらない。
目を見開き、化け物を観察する。筋肉の収縮具合から表情まで、得ることのできる全ての情報を一つ残さず分析する。少しでも集中力を欠かせば僕の首が再び飛ぶことになるのは確定事項だ。
しんとした時間が流れる。数秒の様にも、数分の様にも感じる時間。その静寂に包まれながら、静かに、化け物の脚の筋肉がぐっと収縮する。
「ここだ!」
力の限り横に跳び、着地に失敗して転がる。ヒュン、と風を切る音が耳を劈き、すぐに爆発にも似た衝撃音が響く。
化け物が僕のいた地点を通過し、壁に激突したのだ。
動きが全く見えなかった。即座に横に跳んでいなければ、確実に首をやられていた。
だが、僕も無傷では済まなかった。
立ち上がろうと足に力を入れようとするが、力が入らない。それどころか、すごく熱い。膝の辺りが、ジンジンと燃えるような熱を放っている。
まさか、と思い、恐る恐る自分の足を見る。
予想通り、期待に反し、そこにあるはずのものはなかった。
膝下から乱雑に千切れ、大量の血液が流れ出ている。それを自覚した途端、痛みが傷口だけでなく、体中に広がる。
視界も、意識も眩む。呼吸は乱れ、足の熱量もどんどん増していく。
これでは、もう動けない。次の攻撃は、避けられない。
――次の、攻撃……?
「そういや、あいつは!」
化け物が突っ込んだ壁を見るが、そこにはもう肉塊と化した僕の足が転がっているだけだった。
――しまっ……!
そう思った時には既に遅く、僕の頭は再び吹き飛ばされた。
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